『ほしのこえ』この映画を見て!
第123回『ほしのこえ』
今回紹介する作品は携帯メールをモチーフとした、宇宙で異星人と戦う少女と地球に残った少年の超遠距離恋愛を描いたフルCGアニメ『ほしのこえ』です。この作品は新海誠監督がほぼ一人で、作画から動画、背景に至るまで全て手がけた自主制作アニメということで大変話題になりました。
ストーリー:「2046年、埼玉の中学校に通う長峰美加子と寺尾昇は部活が同じで、とても仲が良かった。しかし、長峰が国連宇宙軍のロボットパイロットのメンバーに選抜され、寺尾を残して宇宙に旅立ってしまう。2人は携帯のメールを使ってやり取りをする。だが長峰が地球から離れれば離れるほどメールのやり取りに時間がかかるようになる。2人の距離が離れるにつれて、時間のズレがどんどん広がっていく。しかし、どんなに距離が離れても、お互いの思いは決して離れることはなかった・・・。」
この作品は25分の短編の作品ですが、とても密度の濃い作品です。ストーリーはとても切ないものですが、人間の絆の強さを感じることができます。遠く離ればなれになった恋人同士のお互いに寄せる思い。それを携帯メールという現代的なツールを使って見事に描いています。人が人に寄せる思いというものは信頼という絆があれば、時空を超えて結びつくことができるものだということをこの映画は教えてくれます。
映像も自主制作とは思えないほどクオリティが高いです。特に背景の美しさは特筆もので、ノスタルジックな雰囲気を醸し出しています。また戦闘シーンもエヴァンゲリオンの影響を強く感じますが、迫力満点で見応えがあります。
ただキャラクターデザインに関してはもうひとつ魅力に欠けていたような気がしました。
この作品は見ていて、『エヴァンゲリオン』や『トップをねらえ』などGAINAX作品の影響を強く感じました。止め絵の多さや戦闘シーンの描き方、主人公とヒロインの人間関係だけに焦点を当てたセカイ系のストーリーなどはエヴァを思い出させました。また少女がロボットのパイロットになって異星人と戦うところやウラシマ効果を活かしたストーリーなどは『トップをねらえ』を思い出させました。この作品は過去のGAINAX作品へのオマージュを強く感じました。
この作品はMac一台で個人が制作したアニメとは思えないほど見応えのある作品です。粗も多く見られますが、アニメ好きなら一度は見て損はないと思いますよ。
製作年度 2002年
製作国・地域 日本
上映時間 25分
監督 新海誠
脚本 新海誠
音楽 天門
出演 篠原美香 、新海誠 、武藤寿美 、鈴木千尋
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