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『魔界転生』この映画を見て!

第108回『魔界転生』
Makaitensei  今回紹介する映画は天草四郎役を演じた沢田研二の怪演が印象に残るオカルト時代劇『魔界転生』です。この映画は80年代に話題作を制作し続けてきた角川映画が手がけている作品なのですが、山田風太郎原作の小説を原作にしたこの映画は公開当時大変な話題になりました。監督は『バトル・ロワイヤル』や『里見八犬伝』などの娯楽作品から『家宅の人』などの文芸作品、果ては『宇宙からのメッセージ』などのSF作品まで幅広いジャンル手がけてきた深作欣二が担当。この映画では深作監督のエネルギッシュでケレン味溢れる演出がとても光っています。

 ストーリー:「時は江戸時代。幕府のキリスト教弾圧による島原の乱で殺された天草四郎は徳川幕府に復讐するために魔界から甦る。彼は怨霊を甦らせる秘術を持って、宮本武蔵、宝蔵院胤舜、豊臣家の滅亡とともに亭主に見捨てられた細川ガラシャ夫人、伊賀の霧丸、そして息子・柳生十兵衛をライバル視して病死した柳生但馬守をこの世に復活させる。天草四郎の計画を知った剣豪・柳生十兵衛はこれを迎え撃つため立ち上がる。」

 この映画のストーリーは荒唐無稽で奇想天外なもので、下手するとB級映画になってしまうような内容ですが、登場する役者たちの圧倒的な存在感と監督のパワフルな演出により、完成度の高い娯楽作品に仕上がっています。

 私は初めてこの映画を見たときは出てくる役者の豪華さとその演技の迫力に圧倒されました。特に天草四郎を演じる沢田研二は何とも言えない退廃的な妖しさと色気を醸し出していました。映画の途中で天草四郎が真田広之演じる霧丸と男同士のキスをするシーンなどは特に沢田研二の妖しい美しさが光っていました。映画のラストの自分の首を腕に抱えて笑うシーンも強烈なインパクトがありました。彼の出演がなかったら、この映画はここまで面白くならなかったと思います。
 若山富三郎演じる柳生但馬守も映画の中で圧倒的な存在感があり、彼がこの映画を引き締めたものにしています。特に映画のラストの江戸城での何人もの侍を一人で次々と斬っていく鮮やかな立ち回りと、燃えさかる炎の中での千葉真一演じる柳生十兵衛との親子対決シーンは最近の時代劇にで見られない迫力があります。この映画に登場した時にはすでに60歳を超えてるのですが、あの年でこれだけの剣捌きができるなんてただ者ではないです。
 柳生十兵衛を演じる千葉真一も大袈裟な演技が鼻につくものの、剣捌きの格好良さはさすがです。特に宮本武蔵との対決シーンと映画のラストの親子対決シーン、そして天草四郎との対決シーンはこの映画最大の見せ場です。
 他にも魔界衆を演じた佳那晃子 、緒形拳 、室田日出男の怪演やまだ初々しい真田広之の演技もとても印象的です。特に佳那晃子演ずる細川ガラシャ夫人の妖艶と狂気迫る演技は大きな見所です。緒方拳の宮本武蔵や室田日出男のエロ坊主・宝蔵院胤舜も強烈なインパクトがあります。真田広之は恋をして葛藤する青年の役を初々しく演じてました。これだけ実力派の役者が登場する映画はなかなかありません。これだけの役者を揃えた時点でこの映画の成功は約束されたようなものです。

 深作監督の演出は、登場する役者たちの魅力を引き出しつつ、パワフルなアクションシーンで数々の見せ場を作り上げ、突っ込みどころ満載のストーリーを演出で見事にカバーしています。この映画最大の見せ場である燃えさかる江戸城での対決シーンは本当にセットに火を放ち、その中で役者たちに演技をさせたそうです。その迫力は最近のCGに頼る映画にはないものがあります。
   
Makaitensei2003  この映画は2003年に窪塚洋介を主演にリメイクもされています。私はそちらは見たことがないのですが、深作版に比べて質はかなり劣っていると聞いています。出てくる役者の格が違いますし、監督の力量の差もあり、それも仕方のないことだとは思います。

 
 深作版『魔界転生』はB級テイストの映画でありながら、役者の演技と監督の演出で一度見ると忘れられないインパクトと何回も見返したくなる魅力がある作品に仕上がっています。

製作年度 1981年
製作国・地域 日本
上映時間 122分
監督 深作欣二 
原作 山田風太郎 
脚本 野上龍雄 、石川孝人 、深作欣二 
音楽 山本邦山 、菅野光亮 
出演 沢田研二 、千葉真一 、真田広之 、佳那晃子 、緒形拳 、若山富三郎、室田日出男、丹波哲郎

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コメント

コメントありがとうございます。深作版は何回見ても、胸躍りますね。役者や演出のテンションの高さが、見ているこちらにも伝わってきます。
千葉真一もかっこいいですしね。

投稿: アシタカ | 2006年9月15日 (金) 09時39分

こんにちは!

TBありがとうございます。

深作版は名作でしたね!
おっしゃるとおり
何回見てもやっぱり面白いです。
なんかこう、高揚感があるんですよね。
チバちゃんもいいし、
みんないいですね。

投稿: 邦画ブラボー | 2006年9月14日 (木) 22時08分

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