『下妻物語』この映画を見て!
第104回『下妻物語』
今回紹介する映画は田園風景が広がる美しい茨城県下妻市を舞台に深田恭子が演じるロリータと土屋アンナが演じるヤンキーの友情をコミカルに描いた『下妻物語』です。監督は『嫌われ松子の一生』でも絶賛を浴びた中島哲也。この映画でも彼のキッチュでポップな演出が大きな魅力の一つとなっています。
私はこの映画をテレビで見たのですが、斬新な映像表現とコミカルでテンポの良いストーリー展開にとてもはまってしまいました。まさかこんなに面白い作品だとは見る前は思ってもいなかったので、良い意味で期待を裏切った作品でした。ストーリー自体は冒頭にも挙げたようにとてもシンプルで、世の中からはみ出した少女2人の友情を描いたものです。別にこれと言って大きなドラマが起こるわけもないのですが、監督の見せ方がとても上手なので映画の話しにぐいぐいと引き込まれていきます。単なるおバカなコメディタッチの映画と最初思わせながら、結構ジーンと来る場面もあり、後味も爽やかで見て損のない映画です。
『嫌われ松子の一生』でもそうでしたが、監督のカラフルでポップでアニメチックな映像表現が随所に見られ、観客を楽しませてくれます。また途中で挿入されるアメコミ調のアニメもとても面白かったです。
また随所に見られる監督の遊び心満載の演出がとても面白く、尼崎のジャージネタや田舎のジャスコ(よくジャスコはOKしたなと思います)、ベルサーチのバッタモンネタ、など大笑いしてしまいました。
主人公2人の生い立ちを多くのカットを使用してコミカルにテンポよく見せるシーンも観客を笑わせながらも主人公の背景がみごとに伝わる演出だったと思います。
役者も主役2人はもちろんのこと、適材適所というか、出演している人全て役にぴったり当てはまっていました。まずロリータを演じた深田恭子ですが、現実離れしたマイペースな役が本人の普段のイメージにも近く、とてもあっていました。土屋アンナのヤンキー姿も如何にも田舎の熱血ヤンキーといった感じを出しており、とてもはまっていました。脇役も個性的な人ばかりで、特に宮迫博之 、岡田義徳、荒川良々、阿部サダヲは特に強烈なインパクトがありました。
この映画は軽い映画に見えて、結構グっとくるセリフも多く、「人間は大きな幸せを前にすると、急に臆病になる。幸せを勝ち取ることは、不幸に耐えることより勇気が要る」 というセリフはとても印象に残りました。
また主人公2人がロリーターにヤンキーと一見世の中から外れたダメ人間に見えながら、実は自分というものをしっかり持った強く逞しい人間であり、彼らの生き方を見るととても励まされるものがあります。2人の友情が単なる馴れ合いでなく、自立した女性同士の付き合いであるところも清清しく、見ていて気持ちが良いです。
この映画は時代に流されずに我が道を行く自立した少女たちの青春と友情を見事に描いた傑作です。ぜひ多くの人に見て欲しいです。
製作年度 2004年
製作国・地域 日本
上映時間 102分
監督 中島哲也
原作 嶽本野ばら
脚本 中島哲也
音楽 菅野よう子
出演 深田恭子 、土屋アンナ 、宮迫博之 、篠原涼子 、阿部サダヲ、 岡田義徳、小池栄子、荒川良々、 樹木希林
| 固定リンク
トラックバック
この記事へのトラックバック一覧です: 『下妻物語』この映画を見て!:
» 下妻物語/深田恭子、土屋アンナ、宮迫博之、篠原涼子 [カノンな日々]
「どうせアイドル映画でしょ?」と思っていたら、何だか口コミの評判がすこぶるよろしいんよ。んで借りてみましたよ。そしたらさぁ、なんじゃコリは・・・めちゃんこおもろい!<笑>
もちろん出発点がたいして期待してなかったというメリットもあったんでしょうが、絶対....... [続きを読む]
受信: 2006年9月 3日 (日) 00時53分
» 下妻物語 今年の4本目 1月6日 [猫姫じゃ]
絶対に良い!と思ってたんだケド、映画館では見ませんでした〜。今頃見たんだケド、
下妻サイコー!!
女の友情って、ウツクシィ!!
う〜ん、同じkyokoだけど、フカキョンってぇ、ホネブト、、でも、かわいい!
土屋アンナも、いいyo!
ほんと、...... [続きを読む]
受信: 2006年9月 3日 (日) 01時32分
» 嫌われ松子の一生 映画から秋ドラマ化へ [亀田三兄弟に負けるな!家族を大切にするブログ]
映画で圧倒的な存在感を見せた中谷美紀さん主演で大ヒット「嫌われ松子の一生」が、2006年秋の連続ドラマ化されることが決定しました。 [続きを読む]
受信: 2006年9月 3日 (日) 01時46分
» 下妻物語 [映画、言いたい放題!]
周りで評判で気になっていたのですが
ビデオ屋でいつも貸し出し中、
やっと借りることができて、観てみました。
茨城県の下妻。
ロココ時代に憧れ、ロリータファッションを愛する桃子と
尾崎豊、バイクを愛するヤンキーの一子の友情物語。
期待しすぎて、今ひとつだった... [続きを読む]
受信: 2006年9月 3日 (日) 02時56分
» 下妻物語 [タクシードライバー耕作のDVD映画日誌]
製作年度 2004年
製作国 日本
上映時間 102分
監督 中島哲也
原作 嶽本野ばら
脚本 中島哲也
音楽 菅野よう子
出演 深田恭子 、土屋アンナ 、宮迫博之 、篠原涼子 、阿部サダヲ
(allcinema ONLINE)
解説: 乙女派作家・嶽本野ばらの同名小説「下...... [続きを読む]
受信: 2006年9月 3日 (日) 05時52分
» 下妻物語 [CAMARO BLOG]
下妻物語って、予告ではイマイチな印象で、 そんなに観たいと思ってませんでした。 なので、映画館では観ませんでした。 んでも!観てみれば… めっちゃおもろいやん!!! 映画館で観てもよかったと後悔。。 ... [続きを読む]
受信: 2006年9月 3日 (日) 11時53分
» 下妻物語 [It's a Wonderful Life]
「下妻物語」DVD
普段の自分ならよほどの事が無いと観に行く映画の一本とならないハズのタイトルとポスターデザインと出演者、、、
でも宣伝バンバンの話題作で無くてもじわじわ「あれ、面白いよー」ってなんとなく口コミっぽく伝わってくる映画ってありますよね...... [続きを読む]
受信: 2006年9月 3日 (日) 20時21分
» 下妻物語 [しーの映画たわごと]
なんで、下妻物語やねん!
どうぞ突っ込んでください。
邦画は北野作品とジブリアニメくらいしか見ない私です。はい。
理由はこれです。
深田恭子!・・・いやいやそれは少しだけ。
下妻物語を見た理由は、Tommyです。... [続きを読む]
受信: 2006年9月 4日 (月) 17時05分
» #537 下妻物語 [風に吹かれて-Blowin' in the Wind-]
監督:中島哲也
脚本:中島哲也
原作:嶽本 野ばら
音楽:菅野よう子
編集:遠山 千秋
出演者:深田恭子 、土屋アンナ 、宮迫博之 、篠原涼子 、樹木希林 、阿部サダヲ 、岡田義徳 、荒川良々 、小池栄子 、矢沢心 、生瀬勝久 、本田博太郎
2004年日本
茨城県下妻市を舞台にふりふりロリータファッションのモモコとバリバリヤンキーのイチコとのシニカルだけどあっつーい友情物語??
途中までは・・・なんじゃこりゃ(笑)
つか、尼崎の描写ひどすぎるし(^o^;
まぁ、... [続きを読む]
受信: 2006年9月 5日 (火) 03時00分
» 下妻物語 [欧風]
この「下妻物語」は去年5月位の試写会で観ました。そのころ、映画の情報もTVとかでちょくちょくやってて、深田恭子演じる主人公のロリータファッションが話題になってましたね。そういうのを見て、ストーリーもロリータ少女とヤンキー娘の友情物語、って言う事で、すごいファッションだな~、う~ん、良くありがちなB級映画かな~と思い、あんまり期待しないで行きました。しかしこの選択がその後の私の人生を大きく左右する事になろうとは・・・(大げさ(^_^;))。
まずみなさん下妻ってどこにあるかご存じでしょうか?私は... [続きを読む]
受信: 2006年9月 5日 (火) 06時31分
» 「下妻物語」〜ジャスコがあっても田舎か? [お茶の間オレンジシート]
2004年日本監督/中島哲也原作/嶽本野ばら出演/深田恭子 土屋アンナ 宮迫博之 篠原涼子 阿部サダヲ 小池栄子 矢沢心 荒川良々 生瀬勝久 本田博太郎 樹木希林田んぼのあぜ道を歩くロリータファッションの少女は,竜ヶ崎桃子(深田恭子)17歳。何を...... [続きを読む]
受信: 2006年9月 7日 (木) 16時58分
» NO.148「下妻物語」(日本/中島哲也監督) [サーカスな日々]
「群れない、媚びない、へこたれない」という少女たちの精神を、文句なしに支持したい!
「群れない、媚びない、へこたれない」という精神は、みていてとても気持ちがいい。これは少年少女に向けられた言葉というより、いまの時代状況に向けて発された言葉だとしても、僕は本気で支持したい。
コミュニティや協調やコンセンサスや調和や、いろんな言い回しをしようが、「異端は排斥する」という思想が、日常に満ちている。「ひきこもり」をしようもの... [続きを読む]
受信: 2006年9月15日 (金) 18時02分
» 阿部 サダヲ [気になる言葉]
阿部 サダヲ(あべ さだを、本名:阿部 隆史、1970年4月23日 - )は千葉県松戸市出身の俳優。松戸市立松戸高等学校卒業。
[続きを読む]
受信: 2006年9月21日 (木) 22時03分
コメント
TBありがとうございます。
大歓迎です!!!
極端な二人の友情物語
楽しめました。
>適材適所というか
そうそう、そこがまたいいんですよね。
スパイスが効いているというか・・・
主役だけでなく脇役も
嬉しい配役でした。
投稿: iyahaya98 | 2006年9月 7日 (木) 17時02分
こんにちわ。この映画は今までの日本映画にはない勢いと遊びがあって、私ははまってしまいました。監督の演出がこの映画の大きな魅力だと思います。役者も個性的で面白く、ストーリーも青春映画の王道と言った感じで、笑ってほろりとさせる素敵な映画でした。
投稿: アシタカ | 2006年9月 7日 (木) 10時52分
こんばんは。
途中までなかなかついていけなかったんですけど、後半に向けてはゲラゲラ笑いつつもじんわり心があったかくなるような、とっても心地のいい作品でした。たまには、こういう不思議な心地よさを味わうのもいいもんだなーなんて感じました(笑)
投稿: chibisaru | 2006年9月 5日 (火) 03時04分