『ソウ』映画鑑賞日記
今回紹介する映画はラストの衝撃的などんでん返しが話題になったサスペンススリラー『ソウ』です。この映画は新人監督と新人脚本家がタッグを組み、低予算・短期間で制作されたのですが、公開されると評論家にも絶賛を受け、世界中で大ヒットしました。昨年にはパート2が制作され、今年の秋に全米でパート3が公開される予定になっています。
ストーリー:「老朽化したバスルームで対角線上に倒れていた2人の男、ゴードンとアダム。その間には頭を銃で撃ち抜いた自殺死体があった。足を鎖でつながれ身動きがとれない男たちに与えられたのは、テープレコーダー・一発の弾・タバコ・着信用携帯電話、2本の糸ノコギリ。テープレコーダーに入っていた犯人からのメッセージは『6時間以内に相手を殺すか、自分が死ぬか。』という内容だった・・・。一体誰が何の目的でこのようなことをしたのか?そして2人が選ばれた理由とは?」
この映画はラストの衝撃的などんでん返しが話題になりましたが、私は昔からどんでん返しのある小説や映画が大好きだったこともあり、早い段階でこの映画の結末が予想できてしまいました。その為、他の人ほど映画のラストに衝撃を受けることができず、非常に残念でした。確かにこの映画の仕掛けに途中で全く気付かずに、あのラストを見たらかなり衝撃的です。ただ実際にあのような事を周囲に気付かれずに実行するのはかなり無理があるような気もします。
また映画のラストのゴードンの衝撃的な行為も三池崇史監督の『オーディション』を見た後では特に目を覆うほどのシーンではありませんでした。
映画の全体的な雰囲気は『セブン』に近く、かなり残酷なシーンや猟奇的なシーンも多いですし、結末の後味の悪さも『セブン』に勝るとも劣らないものがありました。ただ完成度で言うと『セブン』の方が明らかに上です。
『ソウ』は結末に向けての伏線の張り方は巧みだと思うのですが、設定や展開、そして犯人の動機にどうしても無理があるように感じました。また人物描写も浅く、中盤の回想シーンを減らして、囚われた2人の心理描写にもっと焦点をあてたらより緊張感のある展開になったと思い残念でした。映画の脚本を担当したリー・ワネルは映画の冒頭と結末をまず思いつき、そこから脚本を書いていったそうで、中盤の展開をどうしていくか苦労したそうです。この映画は結末のどんでん返しが全てであり、話の展開や人間描写も結末に向けて強引に辻褄を合わせた感が否めません。
私はいろいろこの映画にケチをつけていますが、最近公開されたサスペンススリラーの中では良くできた作品です。映画の途中で出てくる数々の殺人トラップも工夫が凝らされておりインパクトがありますし、伏線の張り方や謎が解明されていく後半の展開は観客を画面に釘付けにします。だからこそ、もう少し中盤の展開や心理描写が洗練されていたらと残念に思う次第です。
製作年度 2004年
製作国・地域 アメリカ
上映時間 103分
監督 ジェームズ・ワン
製作総指揮 ピーター・ブロック 、ジェイソン・コンスタンティン 、ステイシー・テストロ
脚本 リー・ワネル
音楽 チャーリー・クロウザー 、ダニー・ローナー
出演 ケイリー・エルウィズ 、ダニー・グローヴァー 、モニカ・ポッター 、リー・ワネル 、トビン・ベル
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