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夜会VOL.8『問う女』

夜会VOL.8『問う女』
Tou  中島みゆきのライフワークであるコンサートでも演劇でもない独特な舞台「夜会」。その中でも、一番演劇的要素が強い作品『問う女』を紹介したいと思います。
 この作品は私はビデオ化されてから鑑賞したのですが、他の夜会に比べて、歌う場面が少なく、代わりにセリフが多用されており、演劇を見ているような感じでした。また他の夜会に比べて、省略されている部分が大きい割りに様々なテーマやメッセージがこめられており、見終わった後にいろいろ考えさせられる作品でもありました。
 ストーリー:「ラジオ局でのDJを勤める綾瀬マリア。彼女はある日ラジオの番組で自分の男を奪った女にひどい言葉を投げかけ復讐する。しかし、復讐した女は同姓同名の別人。そのことを知ったマリアは自暴自棄になり、夜の歓楽街をさまよう。そこで酔いつぶれたマリアは東南アジアから来た一人の売春婦に出会う。2万6千円という日本語しか言えない彼女との出会いがマリアの人生を大きく変えることとなる。」
 この作品のテーマはずばり「言葉」です。自分の思いや感情を整理したり、他人に分かりやすく伝えるために生み出された言葉という便利な道具。言葉は人間にとって最大の発明であり、人間らしく生きていく上で必要不可欠なもの。しかし、言葉は一歩使い方を間違えると、自分も他人も傷つてしまう恐ろしい凶器にもなってしまう。『問う女』は言葉の大切さや重みを伝えようとする作品です。
 自分を守るための道具として言葉を使ってきた主人公のマリア。彼女は他者と交流するためでなく、他者を傷つけ、拒絶するために言葉を使います。そんな彼女が言葉の通じない女性と出会ったときに気づく、言葉の価値と重み。言葉とは単なる道具ではなく、自分の心の一部。あたたかい心で投げかた言葉は人を慰め、冷たい心で投げかけた言葉は人を傷つける。この作品は普段何気なく使っている言葉というものを見直させてくれる作品です。
 この作品で使用される歌は全曲夜会のために作詞・作曲されたもので、ストーリーと密接に関連したものばかりです。今回は全体的に歌が少ないのですが、作品のラストに流れる『PAIN』という曲がとても素晴らしく、この曲が今回の夜会のテーマを見事に語っています。言葉の価値や人間の愚かさ、悲しさといったものをスケール大きく歌い上げた『PAIN』は中島みゆきの繊細だけど力強い歌声も相まって、聴いていて感動で身震いがするほどです。ぜひ多くの人に聞いて欲しい名曲です。私はこの曲を聴くためだけに何回も見直しているほどです。
 この作品はストーリーが駆け足で分かりにくかったり、話しの展開が古臭かったり、無理があるところもありますが、それを差し引いても素晴らしい作品になっています。DVDで発売もされているので、ぜひご覧になってください!
Toubook  ちなみにこの作品は中島みゆきの手により、小説化されており、舞台では省略された部分しっかり書きこまれているので、舞台をご覧になった方はそちらも読んでみてください。より中島みゆきが伝えたかったことが分かると思います。

会場:Bunkamuraシアターコクーン
1996.11.25~12.25
全24回公演

1.誰だってナイフになれる
2.エコー
3.エコー(“BERRIES”)
  (インストゥルメンタル)
4.SMILE,SMILE
5.台風情報(インストゥルメンタル)
6.エコー
7.誰だってナイフになれる
  (インストゥルメンタル)
8.RAIN
9.JBCのテーマ
10.公然の秘密
11.エコー
12.誰だってナイフになれる
13.女という商売
14.二隻の舟
15.あなたの言葉がわからない
16.血の音が聞こえる
  (インストゥルメンタル)
17.未明に(インストゥルメンタル)
18.異国の女(インストゥルメンタル)
19.JBCのテーマ
20.未明に(インストゥルメンタル)
21.PAIN
22.RAIN(インストゥルメンタル)

*ビデオ版と舞台では一部曲目が違います。
 ビデオ版では舞台のオープニングで歌われた『羊の言葉』がカットされており、逆に『異国の女』は舞台では流れません。この2曲とも夜会の曲を集めたCD『月-WINGS』、『日-WINGS』に収録されています。ちなみに『PAIN』も『月-WINGS』に収録されています。

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