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『吸血鬼ゴケミドロ』この映画を見て!

第93回『吸血鬼ゴケミドロ』
Gokemidoro  今回紹介する映画はカルト的に人気を誇る日本SFホラー映画『吸血鬼ゴケミドロ』です。この映画は1968年にSF映画で老舗の東宝に対抗して、松竹が制作した宇宙人による地球侵略をおどろおどろしく描いた作品です。この映画はとても低予算で制作されており、特撮などチープで、突っ込みどころも多い作品ではあるのですが、エイリアンに侵略された男の異様な雰囲気や人間の醜さを前面に押し出したストーリー、そして後味の悪いエンディングなど見所も多く、見る者に強烈なインパクトを与えてくれます。
 ストーリー:「謎の光体の接近により墜落し、岩山に不時着した旅客機。生き残った10人の乗客と乗組員は宇宙生物ゴケミドロによって恐怖のどん底へと突き落とされる。ゴケミドロは人間に寄生し、寄生した人間を使って、他の人の血を吸って次々と殺していく。生き残った人間たちは何とか生き残ろうとするが、お互いにエゴがむき出しとなり、足を引っ張り合ってしまう・・・。」
 私がこの映画を始め見たときは、エイリアンに襲われるシーンよりも、個性的過ぎる登場人物たちの姿がとても強烈でした。夫が戦死したアメリカ人女性や爆弾で自殺しようとする男、暗殺者、欲望と権力にしがみつく政治家、宇宙人実在論を唱える科学者、危機的状況におかれた人間を観察する精神科医と、ここまで個性的な乗客ばかりの飛行機って、ある意味すごいですね。この人たちが生きようが死のうがどうでもよく、主人公たちには感情移入があまりできませんでした。それにしても極限状態におかれた人間たちの汚さや愚かさをこれでもかと徹底的に描いたストーリーは滅多になく、見ていて嫌悪感を感じてしまいました。
 特撮は空飛ぶ円盤にしても、飛行機にしても、エイリアンにしても、とてもチープなのですが、エイリアンがパックリと割れた人間の額から入り込むシーンはとても気持ち悪く、それでいてどこかいやらしくもあり、一度見ると頭から離れません。またエイリアンに侵略された高英男扮する暗殺者が他の人を襲うシーンはとても不気味で恐ろしいものがありました。
 そしてバットエンディングで有名なラストですが、私も最初に見たときは、まさかこんな結末になるとはと唖然としてしまいました。ここまで絶望的なラストのSF映画はあまり見られません。
 この映画は当時の世相を反映してか、反戦・反核というテーマが随所にこめられています。夫をベトナムでなくした戦争未亡人が「戦争はいけない」と訴えるのですが、映画の中身から浮きまくり、何か違和感を感じてしまいます。
 この映画はタランティーノ監督も大好きで『キルビル1』の模型を使った飛行機のシーンはこの映画のオープニングのシーンに対するオマージュだそうです。
 『吸血鬼ゴケミドロ』は特撮こそチープですが、日本を代表するSFホラー映画であり、一度見たら、あなたもその虜にきっと?なるでしょう。ぜひ見てみてください!

製作年度 1968年
製作国・地域 日本
上映時間 84分
監督 佐藤肇 
脚本 高久進 、小林久三 
音楽 菊池俊輔 
出演 吉田輝雄 、佐藤友美 、高橋昌也 、高英男 、金子信雄 、北村英三、 楠侑子、 加藤和夫 、西本裕行、 山本紀彦、 キャッシー・ホーラン

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コメント

The music industry has been influenced greatly by the growing technology and the professionals who can teach on the music skills. In fact, music has grown from an art to a profession and that is why it is also been taught. This article will assist the music students and the producers to get the right platform.

投稿: Tweets and Posts Writing | 2017年4月 7日 (金) 18時23分

マイブログに、リンク&引用貼らせてもらいましたー
不都合あればお知らせ下さいませ
なにとぞ、宜しくお願いしまーす!m(_ _)m

投稿: ジョニーA | 2014年9月20日 (土) 23時18分

皆様コメントありがとうございます。この映画、私は大絶賛していますが、あくまでB級映画として絶賛しているので気をつけてください(笑)はっきり言ってセットやメイクはショボイですし、演出も大げさなので。それも踏まえて楽しんでください。
ただラストのバッドエンディングは大きな見所です。

投稿: アシタカ | 2006年8月13日 (日) 23時37分

ものすごい絶賛ですね。何だか興味が湧いてきました^^。最近見たバッドエンディングで印象的だったのは「ドーン・オブ・ザ・デッド」ですが、それを凌いでいるか気になります。早速借りて人間の醜さを見てみます。

投稿: 菊花文 | 2006年8月11日 (金) 15時15分

トラバありがとうございます。 先日、NHKのBSで放送されていましたね。 現在の技術でリメイクしても面白い映画だと思います。 高橋昌也氏は映画「ゴジラ・モスラ・キングギドラ大怪獣総攻撃」で自転車屋のお爺さん役で出ていました。

投稿: 映像秘宝館 | 2006年8月11日 (金) 11時09分

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» 吸血鬼ゴケミドロ [filmをめぐって]
あらすじ 60年代後半の日本。 羽田から伊丹空港に向かう小型旅客機は パイロットがかつて見たこともない異様な赤い色をした空の中を通過していた。 狭い客席では外国の要人の暗殺事件が話題になるなど重い空気の中、機体に何羽もの鳥が機体に激突して死ぬ光景が乗客の目にも入ってくる。 いよいよ機内が不穏な雰囲気になった時、 管制塔からは、時限爆弾を持ち込んだ自殺志願者が乗り込んだおそれありとの知らせが入る。 手荷物検査で客の一人が要人暗殺のスナイパーだったことが発覚したその直後、機体は激しい光... [続きを読む]

受信: 2006年8月11日 (金) 02時14分

» ☆★吸血鬼ゴケミドロ★☆ [◇◆映像秘宝館◆◇]
1968年8月公開の松竹製作の特撮映画。 『スペクトルマン』などを製作した“Pプロ”が原案・特撮などで協力している。 【内容】 羽田発伊丹行きのジェット旅客機が謎の発光体と遭遇し…ある岩山に不時着する。 生存者は10名のみで、その中には寺岡なる暗殺者もいた。 その寺岡に乗り移った謎の生命体ゴケミドロは次々に人を襲っていく(吸血)。 以下は略… 冒頭の真っ赤な空は、日本特撮のファンであるタランティーノ監督により『キルビル』にもフィーチャーされました。 そもそもゴケミドロはPプロが独自..... [続きを読む]

受信: 2006年8月11日 (金) 11時02分

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