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『座頭市』この映画を見て!

第89回『座頭市』北野武特集6
Zatouiti  今回紹介する映画は北野武監督初の時代劇であり、第60回ベネチア国際映画祭で銀獅子賞を取った『座頭市』です。『座頭市』は勝新太郎の当たり役でかつて何本も映画化された日本を代表する時代劇です。その座頭市をビートたけしの恩人である浅草ロック座のオーナー・齋藤智恵子さんが、たけし主演で映画化したいと希望し、企画を持ち込んだそうです。北野監督は勝新とはまったく違う座頭市になっても構わないという了承を得て主演・脚本・監督を引き受けたそうです。
 ストーリー:「ある宿場町に現れた、金髪頭に朱塗りの杖を持った盲目の按摩・座頭の市。そこで知り合った野菜売りのおうめから、町民を苦しめるヤクザ・銀蔵一家の悪行の数々を聞かされる。銀蔵一家には凄腕の人斬り・服部源之助が用心棒としてついており恐れられていた。その頃、美しい旅芸人の姉妹が過去に殺された両親の復讐のために宿場町に現れる。座頭市はふとしたことから旅芸人の姉妹の復讐に手を貸すことになる。」 
 この映画のストーリー自体は特に目新しいものはなく、時代劇でよく見られる勧善懲悪モノのストーリーです。悪党に苦しめられる農民や両親の敵討ちを目指す旅芸人、病気の妻を抱えた浪人と出てくる人物やストーリーの展開は時代劇では古典的なものです。北野監督はそんな古典的なストーリーに独自のアレンジをいくつも加えて、ユニークかつ多くの人が楽しめるエンターテイメント作品に仕上げてくれました。
 この映画の大きな見所は北野武扮する座頭市の殺陣シーンとラストのタップシーンの二つです。
 まず殺陣シーンですが、とにかく目にも止まらぬ速さで次々と人が斬られていきます。その圧倒的なスピード感は今までの時代劇の殺陣シーンにはないものがあります。また座頭市が圧倒的に強く、あっけなく敵がバタバタ倒れていく姿は見ていて爽快なものがありました。ただ残念な点もあり、切った後の血しぶきや剣自体をCGで表現しているところがあり、見ていて違和感を感じました。
 次に北野監督が時代劇を撮るときに是非入れたかったと言うお祭りのシーン。賛否両論ありましたが、私は見ていて心地よく面白い表現であったと思います。(ただ少し長すぎましたが・・・)この映画は全体的にリズム感をとても大切にしており、農民が畑を耕すシーンや家を建てるシーン、雨が降るシーンなども音楽と効果音を合わせるなどユニークな表現をしていました。タップダンスはその集大成だと思います。
 この映画は時代劇としてのリアリティといったものはあまり気にせず、北野監督のイメージが優先された作りになっています。登場人物は現代語でしゃべりますし、座頭市は金髪ですし、農民の衣装はカラフルですし、ラストはタップダンスですしね。私は時代劇らしくない感覚で時代劇を語ろうとした北野監督の試みをとても気に入ってます。
 ただこの映画で残念だったのは、すこし中盤が長く感じてしまったのと、ガナルカナル・タカのギャグシーンがしつこく感じてしまいました。出来ればもう少しコンパクトにして1時間30分くらいにしたら、もっとよい作品になったと思います。
 この映画はストーリーの面白さというより、座頭市のかっこよさと、リズム感のよさを楽しむ映画です。他の北野作品にはないエンターテイメント性溢れる作品なので、誰が見ても楽しめると思います。(ただし血が苦手な人はお奨めしませんが・・・)

製作年度 2003年
製作国・地域 日本
上映時間 115分
監督 北野武 
原作 子母沢寛 
脚本 北野武 
音楽 鈴木慶一 
出演 ビートたけし 、浅野忠信 、夏川結衣 、大楠道代 、橘大五郎、 岸部一徳、 石倉三郎、柄本明、ガナルカナル・タカ、橘大五郎、大家由祐子

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コメント

こちらこそ、コメント&TBありがとうございます。この映画は時代劇というより、時代劇という形式を借りた北野映画ですよね。この映画は北野監督なりのエンターテイメントのあり方を示した意欲作だと思います。

投稿: アシタカ | 2006年8月13日 (日) 23時35分

TBありがとうございました!
こちらからもTBさせてくださいね!!
>時代劇らしくない感覚で時代劇を語ろうとした北野監督の試み
勝新のファンの方は
ひょっとしたら不満を持つかもしれませんが
全く別物のたけしさんだけの世界と思えば
かなり楽しめました。
監督の頭の中の世界はこうなんだぁ~
なんて思ってみてました。

投稿: iyahaya98 | 2006年8月13日 (日) 16時58分

残酷なシーンは苦手なのですが、
映像が美しかったり、凝らしているので
楽しんでみることができました(^o^)

投稿: 奈緒子と次郎 | 2006年8月10日 (木) 08時57分

こちらこそコメント&tbありがとうございます。この映画は時代劇に対する北野監督の実験精神に溢れていて、とても面白いと思います。一見よくある話でありながら、どこか他の時代劇とちがう感触がこの映画の魅力ですよね。

投稿: アシタカ | 2006年8月 9日 (水) 22時07分

>時代劇らしくない感覚で時代劇を語ろうとした北野監督の試みをとても気に入ってます。

同感です。
北野作品に対して、食わず嫌いだったのですが、本作で一度に大ファンになりました。
この娯楽性と哲学のコラボは、何度観ても飽きることがありません。

TBに感謝!

投稿: マダムクニコ | 2006年8月 6日 (日) 11時44分

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