『アメリ』この映画を見て!
第95回『アメリ』 今回紹介する映画は見た人を幸せにする恋愛映画『アメリ』です。この映画は公開当時フランスや日本でも大ヒットを飛ばし、アメリブームが巻き起こりました。この映画の監督は『エイリアン4』や『ロスト・チルドレン』などダークでグロテスクな映画を撮ることで有名なジャン=ピエール・ジュネが担当。今までの彼の作風とは打って変わって、お洒落でお茶目でポップな恋愛映画を作り上げました。
私は公開当時、この映画にはまり、何回も映画館で通ってみたものでした。話し自体は別にこれといって目新しいものはなく単純なものなのですが、その描き方に独特なセンスがあり、何度見ても楽しめるだけの魅力がこの映画にはあります。
まず独特な映像センス。全体的に彩度を落としたセピア調の色彩のノスタルジックな雰囲気と赤と緑を大胆に使用したポップ映像の融合はお洒落で美しいですし、さりげないCGの使い方もとても巧みです。カメラワークも凝っており、普通の映画では見られない構図がいくつもあり、監督の画の才能を感じることができました。また映画に登場する部屋や小物・衣装などもかわいく、見ていて欲しくなりました。特に豚のランプはお気に入りです。 ヤン・ティルセンが作曲した音楽もとても素晴らしく、映像とマッチしています。軽快なアコーディオンの音が印象的なテーマ曲に胸が締め付けられるようなセンチメンタルなピアノの曲と、映画で流れるどの曲もとても親しみやすく、どこか懐かしい感じを受けるものばかりです。私はこの映画を見て、音楽がとても気に入り、即サントラを買いました。この映画のサントラを聞くとすぐに映画に舞台となった街の風景が思い浮かぶと同時に、温かい気持ちになれます。ぜひ映画を見てはまった人はサントラCDも買ってください。絶対損しないと思います。
続いてストーリーですが、一言で表すと、内気な女性の初恋を描いたとてもシンプルなラブストーリーです。それでいながら、登場人物たちは一癖もふた癖もある人たちばかりですし、ストーリー自体もどこか現実離れしているところもあり、普通の恋愛映画にはない独特な感じを受けます。
ストーリー:「小さいときの家族環境現実逃避気味な女性アメリが、ある事件をきっかけに人を幸福にすうる喜びを感じ、周囲の人を幸せにしようと奮闘する。そんな中、アメリはふとした偶然で出会った青年に恋をする。彼に思いを告白したいが勇気をもてないアメリ。そんなアメリが恋を成就するまでの姿を周囲の人たちとのやりとりを交えながら描く。」
この映画のストーリーは空想の世界に浸っていた女性が他者を幸福にすることや恋愛を通して現実の世界に居場所を見つけるというものです。アメリという女性はずっと孤独であったが故に純粋でもあったのだと私は思います。そんな彼女が他人を幸せにしようと奮闘したり、恋をする中で、人と触れ合う幸せを感じていく姿は見ていてとてもほほえましかったです。また彼女の純粋さや優しさが人の気持ちをほぐしていく場面も見ていて心地よいものを感じました。八百屋の店主に対する悪戯も遊び心があり、くすくす笑わさせてもらいました。後半、恋に落ちたアメリが彼と会いたいのに、自分に自信がなくてあと一歩のところで引いてしまう場面は見ていて切なく、彼女にがんばれと応援している自分がいました。
この映画は主人公アメリだけでなく、周囲の人物も変わった人ばかりです。みんなどこか人間関係を上手く築けない不器用な人たちばかりなのですが、その不器用さがとても人間らしく、愛おしさを感じてしまいます。この映画は世の中にうまく馴染めない人たちに対する監督の温かい眼差しが感じられるところが私は大好きです。
またストーリーの展開はとてもテンポが良く軽快です特にオープニングは短い時間で面白可笑しくアメリの生い立ちや周囲の人たちの姿を巧みに説明していたと思います。またファンタジックで心温まるストーリーでありながら時折生々しい場面やブラックな場面がはさまれていたりするがフランス映画らしかったです。ナレーションもエスプリが利いてました。
この映画は見た後に誰もが幸せになれる恋愛映画です。ぜひ一度ご覧になってください。
製作年度 2001年
製作国・地域 フランス
上映時間 120分
監督 ジャン=ピエール・ジュネ
脚本 ジャン=ピエール・ジュネ 、ギョーム・ローラン
音楽 ヤン・ティルセン
出演 オドレイ・トトゥ 、マチュー・カソヴィッツ 、ヨランド・モロー 、ジャメル・ドゥブーズ 、イザベル・ナンティ
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