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『タイタニック』この映画を見て!

第100回『タイタニック』
Taitanic  今回紹介する映画は世界中で大ブームを巻き起こしたパニック超大作『タイタニック』です。この映画は20世紀最悪の海難事故と言われた豪華客船タイタニック号の悲劇をリアルかつドラマチックに描き、数多くの観客の涙を誘いました。
 タイタニック号は2200人以上の乗員乗客を乗せてイギリスからアメリカに向かう途中、1912年4月14日の深夜に氷山にぶつかり沈没しました。1513人という死亡者を出したタイタニックの海難事故は機械文明(テクノロジー)の進歩を謳歌していた欧米人に大変なショックを与えました。
 『エイリアン2』や『ターミネーター2』の有名なジェームス・キャメロン監督は以前からタイタニック号の悲劇にとても関心があり、自分の手で映画化したいとずっと思っていたそうです。数々のヒット作を飛ばし、ついに映画化のチャンスが訪れたキャメロン監督は徹底的に史実を忠実に再現しようと細部まで徹底的にこだわって制作したそうです。実物大のタイタニック号のレプリカを作り、外観はもちろんのこと、船内の食器から家具、小物にいたるまで全て当時と同じように復元したそうです。また氷山にぶつかってから沈没にいたるまでの経過は主人公たちの行動を除き、全て実際に起こった通りに再現したそうです。キャメロンのこだわりは200億円以上という莫大な制作費と約3年という長い制作期間を費やしましたが、完成した映画は当時のタイタニック号の姿と事故の悲惨さを見事にスクリーン上に再現していました。
 
 私がこの映画を初めて見たときは、主人公2人のラブストーリーはほとんど印象に残らず、タイタニック号沈没の圧倒的な迫力に目を奪われてしまいました。船体が傾き、一度垂直になり、真っ二つになって、また垂直になって沈んでいく映像は予想を遥かに超えるインパクトがありました。またそれと同時に人間が生み出した巨大なテクノロジーが一個の氷山であっけなく崩壊していく姿に儚さを感じてしまいました。タイタニック号の沈没シーンをリアルに再現したことがこの映画の最大の功績だと私は思います。

 公開当時は主人公のジャックとローズの悲劇の恋愛ドラマに数多くの人が感動していましたが、個人的には彼らの恋愛ドラマはあまりにもベタな展開すぎて、全く興味が湧きませんでした。後半の船が沈没し始めた頃からのパニック描写の緊張感や緊迫感は手に汗握るものがあるのですが、前半の2人の姿は見ていて退屈です。そんな私は今でもDVDで見るとき、前半のドラマ部分は飛ばして見てしまいます。
 もちろん身分の違うの男女の結ばれない恋を描いたことで、単なるパニック映画にはない、メロドラマとしての魅力が生まれ、数多くの人を虜にしたのだとも思います。また身分の違う2人を主人公に設定し、階級の違う乗客たちの姿を主人公たちの目線を通して自然に見せようとした監督の演出も巧みだと思います。ただ私はどうしても監督のいかにも泣かせようという演出があざとく感じてしまい好きではありません。(そう言いながらラストシーンを見ていつも目頭が熱くなる自分がいるのですが・・。)
 私は映画の後半の沈没間際の楽団の皆で弾き続けるシーンや死を目前にした親子の姿、船長や設計士、船員達の悲哀、上流階級の人の醜さなどの人間ドラマの方が主人公たちの恋愛ドラマよりも印象に残るものがあります。
 
 私はこの映画の成功の大きな要因として、ジェームズ・ホーナー が手がけた美しく、壮大なスコアーとセリーヌ・ディオンの主題歌があったと思います。特にホーナーによるシンセとオーケストラを用いた音楽はタイタニック号のスケールの大きさや沈没時の緊迫感、主人公2人の心情をみごとに音楽で表現していました。私はケルト音楽を彷彿させるメインテーマとローズのテーマ曲が特に大好きです。またセリーヌ・ディオンの主題歌も映画のメロディーに歌詞が付けられているので、映画の雰囲気とあっており、名主題歌だと思います。

 この映画はストーリーは賛否両論ありますが、映像の美しさと迫力は誰が見ても圧倒されるものがあります。また映画の全編にわたり、キャメロン監督のこだわりと勢いが感じられ、何回見ても楽しめる映画になっています。
 個人的にはこの映画の後、新作を10年以上撮っていないキャメロン監督がついに次回作を制作し始めたということで今からとても楽しみにしています。

製作年度 1997年
製作国・地域 アメリカ
上映時間 195分
監督 ジェームズ・キャメロン 
製作総指揮 レイ・サンキーニ 
脚本 ジェームズ・キャメロン 
音楽 ジェームズ・ホーナー 
出演 レオナルド・ディカプリオ 、ケイト・ウィンスレット 、ビリー・ゼイン 、キャシー・ベイツ 、フランシス・フィッシャー

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コメント

こんばんわ!私もこの映画劇場で3回、DVDでも繰り返し見ている作品です。この映画を見ると、命の儚さや力強さというものをいつも感じてしまいます。私もラストは分かっているのに、何回見てもグッとくるものがあります。

投稿: アシタカ | 2006年8月31日 (木) 00時38分

こんにちは♪
三回見たのですが、2回目まではやっぱりラストで泣かされました(笑)
ただ、二度三度と見ていくうちにラブストーリーよりも他の乗客たちや船員たちのドラマの方に胸が打たれるようになりました。
そんな風に幾重にも重なる多くの人間ドラマが、あの巨大な氷山によってあっけなく海の底へ引きずりこまれてしまったのだという事実が圧倒的に画面上からも訴えかけてくるのがスゴイですね。

投稿: chibisaru | 2006年8月25日 (金) 14時59分

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