『エクソシスト2』映画鑑賞日記
今回紹介する作品はオカルトホラーの金字塔『エクソシスト』の続編『エクソシスト2』です。
『エクソシスト』は悪魔に取り憑かれた少女の変貌と悪魔を払う神父たちの格闘がとても印象的な作品でした。1作目はウィリアム・フリードキン監督の人間ドラマに焦点をあてた演出が、単なるホラー映画にはない深い味わいを与えていました。もちろんショッキングなシーンも迫力満点で、特に悪魔に取り付かれた少女の顔は強烈なものがありました。1作目は評価も高く、世界中で大ヒットを巻き起こしました。
1作目のヒットから4年後、『エクスカリバー』や『未来惑星ザルドス』など独特な作風で知られるジョン・ブアマン監督の手によって続編が制作されました。公開時はあまりヒットもせず、評価も芳しくありませんでした。
私もつい最近この作品がテレビで放映されたのを見たのですが、1作目に比べると確かに面白くありませんでした。まずホラー映画でありながら怖くなく、ストーリーも抽象的で難解であり、演出もいまいちでした。
ただ全くつまらないかというと、そうでもありません。非常に面白いテーマを扱っている作品です。エンニオ・モリコーネが手がけた音楽は1作目の「チューブラベルズ」と並んで、傑作であり、「リーガンのテーマ」は一度聞くと耳から離れません。またジョン・ブアマンの独特な映像表現も妙に印象に残るものがあります。
ストーリー:「あの恐るべき事件から4年。メリン神父の悪魔祓いにより救われたリーガンはニューヨークで平凡な学生生活を送っていた。女優の母はアイスランドへ行っており、秘書シャロンがリーガンの世話をしていた。リーガンは精神科の医師タスキンの病院に通い、カウセンリングを受けていた。そんな彼女に再び異変が起こり始める。その頃、メリン神父の死の謎を調査していたタスキン博士もリーガンの下を訪ねる。リーガンの深層心理を覗いたタスキン博士は、彼女の中にまだ悪魔がいることを知る。さらにリーガンに取り憑いている悪魔とメリン神父が40年前にアフリカで対決していたことをしる。40年前に悪魔に取り憑かれた少年に出会うため、博士はアフリカに一人飛び立つが・・・。」
ストーリーは1作目とリンクしており、1作目で殉職したメリン神父と悪魔との関係が明らかになっていきます。1作目に比べるとストーリーは観念的であり、1回見ただけでは分かりにくいところがあります。この映画のテーマは善良であればあるほどつけいってくる悪をいかに駆逐するかということを扱っています。その設定自体はとても興味深く、考えさせられるものがあるのですが、そのテーマをうまく伝えきれていないのが残念なところです。イナゴがこの映画ではひとつの象徴として扱われているんですが、いまいち分かりにくいです。(イナゴの映像自体はとてもインパクトがあるのですが・・・。)
メリン神父がアフリカの土着信仰の中で悪魔祓いをしていたという設定も面白く、メリン神父を異端者として扱うバチカンの神父たちとメリン神父の信仰を信じて調査するラモント博士との対立も、「信仰とはなにか」、「神とはどういう存在か」を考えさせてくれます。
2作目は単なる駄作言うにはとても勿体無く、もう少し伝え方や見せ方が上手ければ、1作目に続いてオカルトホラーの名作になったと思うので残念です。
製作年度 1977年
製作国・地域 アメリカ
上映時間 118分
監督 ジョン・ブアマン
脚本 ウィリアム・グッドハート
音楽 エンニオ・モリコーネ
出演 リチャード・バートン 、リンダ・ブレア 、ルイーズ・フレッチャー 、キティ・ウィン 、ネッド・ビーティ
| 固定リンク
「映画・テレビ」カテゴリの記事
- 『トゥルー・ロマンス』この映画を見て!(2011.01.09)
- 『アンストッパブル』この映画を見て!(2011.01.09)
- 『スカーフェイス』この映画を見て!(2011.01.09)
- 『バトル・ロワイアル』この映画を見て!(2011.01.04)
- 『大地震』映画鑑賞日記(2011.01.03)
「ホラー・サスペンス映画」カテゴリの記事
- 『サバイバル・オブ・ザ・デッド』映画鑑賞日記(2010.12.28)
- 『恋する幼虫』この映画を見て!(2010.09.11)
- 『丑三つの村』この映画を見て!(2010.03.13)
- 『犬神の悪霊』この映画を見て!(2010.02.25)
- 『激突』この映画を見て!(2010.01.03)
「映画鑑賞日記」カテゴリの記事
- 『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』映画鑑賞日記(2017.01.22)
- 『大地震』映画鑑賞日記(2011.01.03)
- 『サバイバル・オブ・ザ・デッド』映画鑑賞日記(2010.12.28)
- 『トロン:レガシー』映画鑑賞日記(2010.12.24)
- 『SPACE BATTLESHIP ヤマト』映画鑑賞日記(2010.12.10)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント
コメントありがとうございます。実は私は結構この映画好きなんですよね。ただ見せ方がイマイチというか、もったいない映画だないつも思います。
投稿: アシタカ | 2006年7月28日 (金) 20時53分
TB有り難うございました。確かに惜しかった映画ですよね。もうちょっと、なんとかすればそれなりの映画になったような気がします。
基本は抑えていたようなんですけど・・・。
投稿: alice-room | 2006年7月23日 (日) 22時28分