『M:i:Ⅲ』この映画を見て!
『M:i:Ⅲ』
今回紹介する映画はアメリカで大人気だったテレビドラマ『スパイ大作戦』をトムクルーズ主演でリメイクした『ミッション・イン・ポッシブル』シリーズの3作目『M:i:Ⅲ』です。テレビ版『スパイ大作戦』はチームプレイを重視したストーリーで毎回楽しませくれましたが、映画版『ミッション・イン・ポッシブル』シリーズはトム・クルーズ扮するイーサン・ハントの超人的な活躍を楽しむ作品となっています。
このシリーズの大きな特徴として毎回独自の映像スタイルで人気を集める監督を起用しているところがあります。1作目はサスペンス映画の巨匠として有名なブライアン・デパルマが監督を務め、予想外なストーリー展開とラストの度肝を抜くアクションシーンでテレビ版とは全く違う面白さを持った作品に仕上がっていました。2作目はスローモーションを多用したアクションシーンで人気が高いジョン・ウーが監督を務めたのですが、期待していた割りに完成度はもう一つでした。ジョン・ウーの演出がくどく感じ、トム・クルーズの単なるプローモーション映画になっていました。
そして第3作目『M:i:ⅲ』ですが、この映画は監督が何回も交代しています。最初は『セブン』のデビット・フィンチャーが起用されていたのですが途中で降板し、続いて『ナーク』のジョー・カーナハンが起用されたのですが、また降板してしまいました。そして制作も遅れに遅れ、紆余曲折の末に選ばれた監督は『エイリアス』や『LOST』などの数々の人気テレビドラマを制作したJ・J・エイブラムスでした。彼は『アルマゲドン』のシナリオなどにも参加している脚本家で、独自のスタイルを持っているというよりはストーリーを重視する監督です。そんなエイブラムス監督が手がけた3作目ですが、初監督作としては見事に面白い作品に仕上がっていました。
トムクルーズ扮するイーサン・ハントの超人的なアクションはいつもながらですが、今回はテレビドラマ版にあったチームプレイの面白さも前半から中盤にかけて描いており、スパイ映画を見ている醍醐味を感じました。またアクションシーンも現実離れをしていますが迫力満点であり、息つく暇がなく、2時間という上映時間があっという間に思えてしまう作品でした。
ストーリー:「IMFのトップエージェントであるイーサン・ハントは現役から退き、現在は後進の指導を行いながら看護師であるジュリアと結婚をして幸福な生活を過ごしていた。しかしある日、自分の教え子のリンゼイが国際的な武器商人デイヴィアンの捕獲作戦に失敗し、拉致されてしまう。彼女を救助するためにIMFのチーム達と共にベルリンへ飛ぶが、作戦は失敗。イーサンはバチカンに飛び、デイヴィアンの捕獲に挑む・・・。」
今回のストーリーは、監督いわくスパイのプライベート部分を描きたかったようで、前2作にはなかったプライベートなシーンが随所に挿入されます。家族とのささやかな日常の幸福と世界的な悪の組織と命がけの戦いを挑む過酷さとのギャップの中で生きている姿が描かれているシーンは、イーサンというキャラクターに深みを持たせていると思いました。 また前半のベルリンやバチカンでのチームプレイ戦は見ていて、とても手に汗握るものがありました。後半は奥さんが誘拐され、イーサンが救出に向けて戦いを挑んでいくのですが、トムの人間離れしたアクションとトムの男泣きが印象に残りました。
それにしても、こんなに私情で一人突っ走るスパイって優秀なスパイだろうかと見終わった後、疑問に思ってしまいました。また映画の終盤にどんでん返しがあるのですが、1作目に比べて別にこれといった驚きはありませんでした。よく考えると突っ込みどころの多いストーリですが、見ている間は全くといって良いほど気になりませんでした。
アクションシーンはどれも音響効果がすざましくて迫力満点でした。トム・クルーズのスタントなしの体張ったアクションシーンはいつもながら見ごたえ十分でした。ただ、ラストは思ったよりスケールが小さく、尻すぼみのような印象を受けました。あと、中盤の橋の上での戦いはシュワルツネッガー主演のスパイ映画『トゥルーライズ』に似ているような気がしました。(この作品の構造自体、そういえば『トゥルーライズ』にとてもよく似ていますね。)
この映画の話題の一つとしてアカデミー賞を受賞したフィリップ・シーモア・ホフマンが悪役を演じたことがあったのですが、いまいち悪役として迫力不足でした。またこれはシナリオや演出の問題ですが、悪役がどれほどの力を持っており、どんなにひどいことをしているのかがあまり描かれていないので、ラストのアクションシーンなど盛り上がりに欠けたような気がします。またイーサンの上司役で『マトリックス』のローレンス・フィッシュバーンが出演していたのですが、あまり印象に残る役ではありませんでした。せっかくの起用なので、もっと活躍して欲しかったです。
この映画は見終わった後、特に印象に残る映画でもありませんし、突っ込みどころも満載な映画です。しかし、見ている間は画面に釘付けになりますし、1800円払って見て損はないと思います。暑い夏にスカッとしたアクション映画をぜひ見てストレス解消してください!
製作年度 2006年
製作国・地域 アメリカ
上映時間 126分
監督 J・J・エイブラムス
製作総指揮 ストラットン・レオポルド
原作 ブルース・ゲラー
脚本 J・J・エイブラムス 、アレックス・カーツマン 、ロベルト・オーチー
音楽 マイケル・ジアッキノ
出演 トム・クルーズ 、フィリップ・シーモア・ホフマン 、ヴィング・レイムス 、マギー・Q 、ジョナサン・リス=マイヤーズ 、ローレンス・フィッシュバーン
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