『天空の城ラピュタ』この映画を見て!
第83回『天空の城ラピュタ』 昨日テレビで放映されていた『ハウルの動く城』を久しぶりに見たのですが、宮崎駿監督だけあってそれなりに面白い作品に仕上がっていることを改めて確認しました。しかし、ここ最近の宮崎映画は以前に絵の美しさは別として、完成度や面白さは低くなっているような気がします。宮崎駿は『ハウルの動く城』の他にタイトルに城が付いている作品を2作品手がけています。1つ目は『ルパン三世 カリトオストロの城』、2つ目は『天空の城ラピュタ』です。この2作品とも完成度、面白さとも『ハウルの動く城』をはるかに超えています。
特に私は『天空の城ラピュタ』が大好きで、3ヶ月に一度はDVDで見直しています。ラピュタは私にとって心の栄養ドリンクみたいなものであり、何度見ても最後まで画面に釘付けになってしまう映画です。冒険活劇映画はハリウッドでもたくさん制作されていますが、この映画はほど面白く、感動できる作品は他にないと思います。
この映画はキャラクター・ストーリー・映像・音楽・演出と全てにおいて完璧であり、宮崎駿を始めとするスタッフたちの情熱とこだわりが随所に感じられます。
宮崎映画は毎回魅力的なキャラクターが数多く登場します。特にこの映画は主人公のパズー・シータを始め、脇役のドーラ・ムスカ・ポムじいさんと出てくるキャラクター全てが魅力的です。特に脇役のドーラはいい味を出しています。ドーラは海賊の船長としての顔、母親としての顔、女としての顔など様々な顔を持っており、かっこよくもあり、優しくもあり、奥行きのあるキャラクターです。悪役のムスカも本当に冷酷で憎憎しく、冒険活劇としての物語を盛り上げてくれます。また声優も最近のジブリ映画のように話題先行でなく実力ある声優や俳優が起用されているので、キャラクターにとてもはまっているところも良いです。
ストーリーもテンポがよくメリハリがあり、2時間近い上映時間全く飽きさせません。まず天空に浮かぶ城を目指すという設定がロマンに溢れいて素敵です。この設定自体が多くの人を虜にします。
また少年と少女の交流や成長も情感たっぷりにしっかり描かれているので、アクションシーンもとても盛り上がりますし、見ている側も主人公たちに感情移入して、映画のストーリーに入っていくことができます。特に前半のクライマックスの要塞からの脱出シーンは、最高に盛り上がります。あのシーンを見るために何回も見てしまうほどです。ドラマがしっかりしていると、アクションも盛り上がるという良い見本だと思います。(一昨年ラピュタによく似た『スチームボーイ』という映画が制作されましたが、人間ドラマがぐだぐだで全く面白くありませんでした。)
天空の城に着いてからは単なる冒険活劇からトーンが変わり、物悲しい展開になってきます。特にお墓に花を供えるロボット兵と木に横たわるロボット兵の残骸のシーンは、文明の栄枯盛衰を感じさせ、印象的でした。
切ないラストシーンもこの映画の素晴らしいところです。城がどんどん空高く上っていくシーンとそれを見つめるパズーとシータの姿は何回見ても胸にジーンときます。冒険の終わることの寂しさ、時代の移り変わり、ラピュタに対する2人の思い、様々な感情が込められたラストです。この切ないラストが単なる活劇映画にはない深い余韻を与えてくれます。
もちろん宮崎駿の映画なので、この映画も自然と文明、人類と科学という大きなテーマがこめられているのですが、そのテーマが『もののけ姫』のように全面にでることなく、それでいてさりげなくしっかり描かれているところも好感がもてます。
この映画の魅力を語るとき、久石譲さんの音楽は外せません。彼の音楽なくして、この映画はここまでの人気を得られなかったと思います。それくらい音楽が映画とマッチしており、アクションを盛り上げ、ドラマに奥行きを与えてくれます。特に主題歌、作詞は宮崎駿監督自ら手がけているのですが、ジブリの映画の中で一番素敵な主題歌であると思います。切ないラストシーンの後に流れてくる主題歌「君をのせて」は観客を清清しい気持ちにさせてくれます。
またこの映画は絵としての完成度もとても高いです。アクションシーンの動きも活き活きしていますし、キャラクターの表情も丁寧に描けています。また背景の美術のレベルもとても高く、ラピュタの庭園のシーンの美しさは息を呑みます。この頃のジブリはまだ作品ごとにスタッフを集めて制作していました。その為、この映画の制作時も宮崎映画にぜひ参加したいという実力派アニメーターが結集したそうで、作画のレベルは日本アニメでも最高クラスです。
この映画は私の中では宮崎作品の中で『風の谷のナウシカ』と並んで最高傑作だと思います。夢と冒険に溢れた世界、誰だって憧れる世界ですよね。私はこの映画を見た後は必ず空を見上げてしまいます。皆さんもこの映画を見た後は空を見上げてください。何ともいえない気持ちになりますから・・・。
製作年度 1986年
製作国・地域 日本
上映時間 124分
監督 宮崎駿
原作 宮崎駿
脚本 宮崎駿
音楽 久石譲
出演 田中真弓 、横沢啓子 、初井言榮 、寺田農 、常田富士男
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コメント
久しぶりに遊びに来ました^^
ラピュタはムスカが好きですw
TBさせていただきました☆
投稿: may | 2006年7月30日 (日) 19時05分