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『劇場版 NEON GENESIS EVANGELION - Air / まごころを君に』この映画を見て!

第82回『劇場版 NEON GENESIS EVANGELION - Air / まごころを君に』
Evangelion_movie_1  今回紹介する映画は10年前に一大ブームを巻き起こしたテレビアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』の劇場版作品であり、シリーズ完結編でもある『Air / まごころを君に』です。この作品は97年に公開されたのですが、制作が遅れて春に一部未完成のまま、テレビ版のダイジェストと合わせて『DEATH & REBIRTH シト新生』として公開され、夏に改めて『Air / まごころを君に』として公開されました。映画の内容はとても過激なもので、ファンの間でも賛否両論を巻き起こしました。
 『新世紀エヴァンゲリオン』は95年に新たなるロボットアニメとしてテレビ東京で放映されました。監督は『ふしぎの海のナディア』や『トップをねらえ』で人気を誇る庵野秀明が担当しました。次々と襲ってくる正体不明の存在「使徒」や人類補完計画など謎と伏線に満ちたスケールの大きなストーリー展開と、それに反して人間関係を上手く作れない主人公たちの内面描写に力をいれた演出、そしてテレビアニメとは思えないほどクオリティの高い作画など見所の多いアニメでした。テレビシリーズは26話で完結したのですが、ラスト2話はいきなり主人公・碇シンジの内面世界の描写だけで話しが進み完結したので、放映当時大変な反響を呼びました。
 私も当時大学生だったのですが、『新世紀エヴァンゲリオン』にはまり、ビデオで何回も見直したものでした。ユダヤ教の教義から生物学、心理学、哲学の領域まで踏み込んだストーリーの面白さ、設定の細かさ、庵野さんの静と動のコントラストが巧みな演出やGAINAXの作画や構図の緻密さに大変はまったものでした。私にとって、この作品の魅力は全ての謎が明確にされないところと、庵野監督の演出と作画の上手さにあると思っています。確かにテレビ版のラストは1回見ただけではよく分からない展開ですが、何回も見直すと、見せ方が今までと違うだけで納得できる展開であることが分かります。私はあのラストで庵野監督がこの作品で一番伝えたかったことを伝えたのだと思っています。この作品は一見スケールの大きな世界を描こうとしているようにみえますが、実はものすごくスケールの小さい、一人の人間が対人恐怖症を克服して社会と向き合うまでを描いた作品なのだと思います。
 映画版はテレビの25話・26話をリメイクした作品であり、シンジの内面世界の外で一体何がおこっていたのかを補完するための作品です。そういう意味では、テレビ版とストーリーの流れはリンクしています。そういう意味で監督が言いたいことはテレビ版とそんなに変わりはないのですが、その見せ方が大変過激です。
 私が初めて劇場で見たときは、あまりにも残酷な描写が多くびっくりしてしまいました。特にエヴァ2号機とエヴァ量産機との戦いのシーンは目を覆いたくなるほど過激なものでした。またストーリー自体も主要人物のほとんどが死んでいくか狂ってしまうという悲惨なもので、あまりにも救いようのない展開に度肝を抜かれてしまいました。映画のラストはテレビ版と基本的に同じなのですが、より辛辣な終わり方であり、後味は決してよいものではありませんでした。ただこの終わり方は主人公が現実で生きることを選択したという点で私はハッピーエンドだと思っています。
 この作品は今までテレビシリーズで積み上げてきたものを全て破壊していく作品であり、エヴァの世界にはまったファンを現実世界に強引に連れ戻そうとする作品です。そういう意味でこの作品はエヴァンゲリオンに対する庵野監督なりの総決算であり、後始末的な作品であると思います。
 またこの作品は庵野監督のとても私的な体験や心の葛藤をスケール大きく描いた作品だとも思います。脆弱な自分を抱えたまま、恐れている他人とどう付き合って生きていくかの葛藤と克服までを描くことがこの映画のテーマです。監督はこの作品の後に『ラブ&ポップ』、『式日』という実写映画を撮っているのですが、この2作品はエヴァンゲリオンのラストと密接に関連している作品なので、ぜひエヴァにはまった人は見てみて欲しいです。
 またこの映画は同じ年に公開された宮崎駿の『もののけ姫』と対をなす作品となっています。『もののけ姫』は人間と自然の対立を描いた作品でしたが、その根底には自分たちとは異質な他者とどう折り合いをつけるかというテーマがありました。そういう意味では『もののけ姫』とこの映画とテーマは限りなく近いところにあります。また『もののけ姫』は公開当時のキャッチコピーが「生きろ」でこの映画は「みんな死ねばいい・・・」と正反対のものでした。しかし、両者とも描いていることはまぎれもなく生きるとはどういうことかであり、この2つの映画は限りなく離れているようで近い映画となっています。残酷描写が多いのも両者に言えることですが・・・。
 この映画はアニメとはいえ小学生が見るとトラウマになりますし、テレビシリーズを見たことがない人が見ても全く楽しめません。ただテレビ版を見たことがある人で、映画版をもし見たことない人なら(そんな人いないかもしれませんが・・・)ぜひ見てみてください。
 

製作年度 1997年
製作国・地域 日本
上映時間 87分
監督 鶴巻和哉 、庵野秀明 
原作 GAINAX 
脚本 庵野秀明 
音楽 鷺巣詩郎 
出演 緒方恵美 、林原めぐみ 、宮村優子 、三石琴乃 、立木文彦 

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