『隣人13号』この映画を見て!
第79回『隣人13号』 今回紹介する映画は現在の日本映画界で大人気の役者・中村獅童が出演したサイコホラー『隣人13号』です。井上三太の同名人気コミックを完全映画化したこの作品、完成度はもう一つですが、とても見ごたえのある作品に仕上がっています。監督はミュージックビデオを数々手がけてきた井上靖雄。この作品で映画監督デビューをした井上監督ですが、初監督作品とは思えないほど、素晴らしい仕上がりとなっています。
ストーリー:「小学校時代に赤井トールというクラスメートに陰惨ないじめ受けていた村崎十三。そんな彼は自分の中に暴力的な13号という別人格を持つようになる。そして10年後、復讐を決意した十三は、赤井の住むアパートに部屋を借り、赤井の勤める建築会社に潜り込む。そして十三の中に潜んでいた13号の人格がどんどん暴走し始める。」
この作品はとても陰湿で重苦しい雰囲気に包まれています。小学生時代のいじめの描写は生々しく痛々しいですし、隣人13号の暴力描写は目を背けたくなるほど激しいものがあります。この映画で映し出される暴力はどれも観客の不快感を煽るようなものばかりです。また暴力描写以外も、生理的嫌悪感を覚える描写が多く、好き嫌いがはっきり分かれる映画です。
ストーリーは13号に支配される村崎十三の葛藤みたいなものをもっと丁寧に描いた方が良かったのではと思いました。 また中盤少し間延びしてしまっている所があったので、もう少しコンパクトな展開にしてもよかったのではと思いました。ラストの展開は唐突で分かりにくいところもありましたが、赤井の謝罪により、十三の傷ついた心が癒されたことを示しているのだと思います。
この映画の一番の見所は役者たちの演技です。まず13号を演じた中村獅童。彼の切れっぷりはすざましく、ラストの刀を持って相手を襲うシーンは迫力満点です。『いま会いに行きます』で彼が見せた繊細な演技とはまた違った一面が見られます。また小栗旬も二重人格に苦しむ村崎十三という難しい役を上手く演じていました。彼の怯えた顔と獅童の狂気じみた顔のコントラストが絶妙でした。また、かつて村崎をいじめた赤井を演じた新井浩文も嫌な奴をとても好演していました。また赤井の妻役を演じたPUFFYの吉村由美も予想以上に演技が上手く、はまり役でした。
この映画は誰でも楽しめる映画ではありませんが、怖い映画が好きな人なら一度は見て損はないと思いますよ。
製作年度 2004年
製作国・地域 日本
上映時間 115分
監督 井上靖雄
製作総指揮 木幡久美 、宮下昌幸
原作 井上三太
脚本 門肇
音楽 北里玲二
出演 中村獅童 、小栗旬 、新井浩文 、吉村由美 、石井智也
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