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『ポセイドン・アドベンチャー』この映画を見て!

第71回『ポセイドン・アドベンチャー』
Poseidon  今回紹介する映画はパニック映画の傑作であり、明日から公開される超大作『ポセイドン』のオリジナルに当たる作品です。この作品は72年公開当時に大ヒットを飛ばし、その後、ハリウッドでパニック映画がブームとなりました。この映画の後数々のパニック映画がハリウッドで制作されましたが、設定の面白さとシナリオの素晴らしさでこの映画を超える作品は『タワーリングインフェルノ』を除いてないと思います。
 ストーリー:「ニューイヤーズ・イブの夜、米国豪華客船ポセイドン号は、1400人を乗せてアテネに向かっていた。しかし、その時海底地震が発生し、数分後船は大津波にのまれて転覆、天地が逆転した船内からの脱出にスコット牧師を始めとした10人の男女が挑む。」
 この映画を私が最初に見たのは幼稚園の時でした。テレビで放映されているのを家族と共に見ていたのですが、。非常に強いインパクトを残しました。ひっくり返った船のセット、逃げる人を次々と襲う困難、自らの命を犠牲にして仲間を助けようとする人たちの姿など小さいとき食い入るように見ていたのを覚えています。スコット牧師のラストの行動にとても衝撃を受け、自分が同じ立場ならあのようなことが出来るか、子どもながらに悩んだものでした。さらにこの映画を見終わった後はしばらく船恐怖症にもなってしまい、本気で船に乗るのが嫌でたまりませんでした。(『ジョーズ』を見た後も、しばらく海恐怖症になりましたが・・)小学生の時など、用事でフェリーに乗るときに、船底に近いとこにいたほうがいいのではとか、沈んだら船尾に向かわないとと本気で考えていたものでした。私にとって『ポセイドン・アドベンチャー』は小さいときからとても思い入れの深い作品でした。
 『ポセイドン・アドベンチャー』がリメイクされることを知り、久しぶりにDVDを買って見直してみたのですが、今見ても十分面白い映画でした。まだCGや特殊技術が発達していない時代に、ここまで迫力のある映像が撮られていたことに、改めて見て驚きました。特に船の天地が逆転するシーンの迫力は今見てもすごいものがあります。撮影するときはスタントの人は大変だったと思います。またDVDの特典映像を見ると、役者たちがスタントなしで実際の危険なシーンも演じていたようで、撮影は過酷だったそうです。ストーリーも無駄なシーンが一切なく、アクションシーンの中に濃厚な人間ドラマが展開されており、シナリオの上手さに感心しました。脱出する10人一人一人の個性が丁寧に描きこまれ、ストーリーに反映されているので、見る側も登場人物に感情移入がしやすいです。またストーリーの背景には旧約聖書に記されるモーゼがエジプトからユダヤの民を脱出させる話しがベースにあり、単なるパニック映画にはない奥深さがあります。特にベル婦人がスコット牧師を助けるために水の中に飛び込むシーンと、スコット牧師のラストのシーンは人間ドラマとして最高の見せ場であり、涙なしでは見られません。この映画を改めて見ると、最近の超大作映画が映像の迫力の割りに中身が薄いなと思いました。
 一昔前の作品ではありますが、この作品は完成度の高い娯楽映画であり、今見ても楽しめるものとなっています。リメイク版『ポセイドン』が公開された今、オリジナルの『ポセイドン・アドベンチャー』もぜひ見てみてください!

製作国・地域 アメリカ
上映時間 117分
監督 ロナルド・ニーム 
原作 ポール・ギャリコ 
脚本 スターリング・シリファント 、ウェンデル・メイズ 
音楽 ジョン・ウィリアムズ 
出演 ジーン・ハックマン 、アーネスト・ボーグナイン 、レッド・バトンズ 、キャロル・リンレー 、ロディ・マクドウォール

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コメント

コメントありがとうございます。この作品は私にとって思い出深い作品です。リメイクされることを知ったとき、何でこの作品をわざわざするのだろうと思ってしまいました。それにしても最近のハリウッドは映像をグレードアップさせただけのリメイクばかりで面白くないですね。

投稿: アシタカ | 2006年6月 4日 (日) 10時51分

アシタカさん、おはよーございます♪♪♪

どうも噂によると、
リメイク版はCGやセットは凄いけど、
ドラマの部分は至って弱いらしいですね。
仰る通り、この作品は今観ても、
決して色褪せない感動を与えてくれる傑作だと思うです。
返礼トラバさせてくらさいませ!

投稿: カゴメ | 2006年6月 4日 (日) 08時48分

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