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『ジョーズ』この映画を見て!

第76回『ジョーズ』
Photo_4   今回紹介する映画はサメの恐怖を描き、世界中の映画ファンを虜にした映画『ジョーズ』です。この映画はテレビで何度も放映されているので、多くの人が一度は見たことがあると思います。また映画自体見たことがないという人でもジョン・ウィリアムスが手がけた印象に残るスコアーはどこかで聞いたことがあると思います。この映画が制作されたのは1975年ですが、公開当時は一大ブームとなり、興行収入も大成功を収めました。この映画を監督したのは今やハリウッド映画界の巨匠となったスティーブン・スピルバーグ。彼は当時まだ20代で、監督として駆け出しだったのですが、自ら製作者に監督をさせて欲しいと名乗りを上げて、この大作映画の監督をつかんだそうです。彼はこの映画の成功で一躍有名になり、その後も次々と大作・ヒット作を連発しました。
 私がこの映画を初めて見たのは幼稚園のときですが、あまりの恐ろしさにトラウマになり、しばらく海で泳げなくなりました。特に海の底で人間の生首が見つかるシーンとクイントがサメに食いちぎられる場面は子どもには刺激的過ぎて、ショックを受けたものでした。しかし、怖いながらもテレビで放映される度に、手で目を覆いながら最後まで見ていたものでした。
 この映画はショッキングなシーンも多いのですが、最後まで目の離せない作品に仕上がっています。その大きな理由として、前半はサメの全体像を映し出さず観客の恐怖感をあおり、後半に全体像を明らかにさせ人間対サメのアクションドラマに観客を集中させるように映画が組み立てられている所が大きいと思います。前半はサメの恐怖に慌てふためく人々の姿をじっくり描き、後半、サメに戦いを挑む3人の男たちの姿に焦点を絞って描いていく。このストーリーの流れの上手さが観客の心をつかむのでしょう。
 スピルバーグ監督は観客を映画に集中させようと様々な工夫をしています。海面すれすれの視点の映像や海中から人の足を映し出す映像が生み出す緊張感、突然現れる人の死体や襲い掛かるサメの映像のインパクト。映画の後半の男たち3人の船の上でのドラマの面白さ、そして伏線をしっかり張った上での予想外のサメの倒し方。この映画は全編にわたりスピルバーグの巧みな演出が冴え渡っています。
 またこの映画は音楽による演出がとても効果を生んでいます。サメの登場前に流れるジョン・ウィリアムスの緊張感溢れる音楽は観客の心に何が起こるのかという身構えを起こさせます。また観客がこの音楽が鳴ったときにサメが現れるんだと思い込んでいると、突然音楽が鳴らないうちに静粛の中からサメが現れ、観客を驚かせるという演出の巧みさ。この映画はジョン・ウィリアムスの音楽がなかったら、ここまでヒットしなかったと思います。
 最近『ジョーズ』のDVDを買い、特典映像のメイキングを見たのですが、この映画の海の上での撮影は過酷で大変だったようです。サメはもちろん本物でなく、ロボットなんですが、このロボットの制作・撮影が大変だったようです。映画ではあの張りぼてのサメがあんなに怖く見えるのですから、スピルバーグの演出は大したものです。
 『ジョーズ』はこのあとシリーズ化され3本の続編が生まれました。第2作目はブロディ署長の息子たちがサメに襲われ、3作目では水族館で働く息子の下にジョーズが現れ、4作目では妻のロレインの下にサメが現われと、なぜブロディ署長一家の前ばかりサメが現れるのかと突っ込みを入れたくなるような代物ばかりでした。もちろん、どれも1作目の面白さには到底及ぶことなく、パッとしない作品ばかりでした。『ジョーズ』公開後、この続編以外にも数多くのサメ映画が公開されましたが、どれもいまいちな作品ばかりでした。しかし、レニー・ハーリンが監督した『ディープ・ブルー』という作品は知能を持ったサメという荒唐無稽な設定ながら、とても面白い作品に仕上がっていました。
 また大阪のUSJにあるジョーズのアトラクションも体験してきたのですが、映画に比べて今一つ盛り上がりに欠けてぱっとしませんでした。
 『ジョーズ』は本当に良く出来た娯楽映画だと思いますし、スピルバーグの代表作であり、傑作だと思います。夏の暑い時期にぴったりの『ジョーズ』。ぜひ見てください!

製作年度 1975年
製作国・地域 アメリカ
上映時間 124分
監督 スティーヴン・スピルバーグ 
原作 ピーター・ベンチリー 
脚本 ピーター・ベンチリー 、カール・ゴットリーブ 
音楽 ジョン・ウィリアムズ 
出演 ロイ・シャイダー 、ロバート・ショウ 、リチャード・ドレイファス 、ロレイン・ゲイリー 、カール・ゴットリーブ 

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受信: 2006年6月29日 (木) 08時51分

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