『28日後』この映画を見て!
第72回『28日後』 今回紹介する映画は『トレインスポッテイング』で有名なダニー・ボイル監督が制作した世紀末ホラー映画『28日後』です。この映画はウィルスによって崩壊した文明社会の中で生き残った人たちの姿を捉えた作品ですが、恐怖と美しいに満ちた映像とリアルなストーリー展開がとても印象的な作品です。
ストーリー:「怒りを抑制する薬を開発中のとある霊長類研究所。ある夜、精神を冒し即効性の怒りを発するウィルスに感染している実験用チンパンジーが、侵入した動物愛護活動家たちによって解放されてしまう。その直後、活動家の一人がチンパンジーに噛まれて豹変、仲間に襲い掛かる…。28日後。交通事故で昏睡状態に陥っていたメッセンジャーのジムは、ロンドン市内の病院の集中治療室で意識を取り戻す。ベッドから起き廊下をさまようジムだったが、院内にはまったく人の気配がなかった。28日間で広まったウイルスによって感染者は凶暴化し、世界は崩壊の危機に瀕していた。ジムは、感染者の攻撃をかいくぐりながら、わずかに残された非感染者とともに安全な場所を目指すが・・・。 」
この映画を見たとき一番印象的だったのは走って襲ってくる感染者たちでした。昔のゾンビ映画などはノロノロした動作で襲ってくるので、まだ逃げれる余裕があったのですが、全力疾走で人間を襲ってこられると逃げ切るのも大変で怖いですね。また前半の誰もいないロンドンの街並みも印象的でした。人の気配が全く感じられない街を一人さまよう主人公の姿は見ていて、絶望感と不安を感じました。人によって作られた街から人ほとんどいなくなるということほど、孤独と恐怖を感じさせるものはないですよね。
また後半の人間の敵は結局人間という救いのない展開もこの手の映画ではありがちですが、個人的には面白かったです。おそらく監督は感染の恐怖というより、人間の中に潜む暴力性や怒りというものを描きたかったのだと思います。しかし、その分後半はストーリーが尻すぼみになり、感染者の襲撃シーンが少なかったのが残念ですが・・・。
私は昔からジョージ・A・ロメロの『ゾンビ』と『死霊のえじき』が大好きなのですが、『28日後』は随所にロメロのゾンビ映画の影響が感じられました。荒廃した街、無人のスーパーマーケットでの買い物、軍人の愚かさとロメロのゾンビ映画を彷彿させるシーンが随所に見られ、ジョージ・A・ロメロ監督の影響の大きさを改めて思いました。
この映画はダニーボイルらしく、この手の映画にしては映像・音楽共に美しいです。デジタルビデオによって撮影された映像は生々しさと独特な美しさがあります。また音楽も途中で挿入される「アヴェ・マリア」の曲もとても印象的でした。
ちなみにこの映画はエンディングが何種類も存在しており、DVDには劇場公開された希望に満ちたエンディング以外に、3つのエンディングが入っています。劇場公開されたエンディングとはまた味わいの違うエンディングなので、興味のある人はぜひ購入するかレンタルするかして見てください。ちなみに私は劇場公開されたエンディングが一番好きです。
この映画はホラー映画でありますが、そんなに怖くありませんし、追い詰められた人間の心理や業を描いたドラマとして見ても十分楽しめる作品となっています。ストーリー展開や設定の詰めの甘さなどあり、決して傑作とまでは言えませんが、見て損はない作品だと思います。
製作年度 2002年
製作国・地域 イギリス/アメリカ/オランダ
上映時間 114分
監督 ダニー・ボイル
製作総指揮 グレッグ・カプラン 、サイモン・ファロン
脚本 アレックス・ガーランド
音楽 ジョン・マーフィ
出演 キリアン・マーフィ 、ナオミ・ハリス 、クリストファー・エクルストン 、ミーガン・バーンズ 、ブレンダン・グリーソン
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コメント
こちらこそ、ご無沙汰してました。ドーン・オブ・ザ・デッドと28日後は近い時期に公開されてましたね。確かに28日後は映像の雰囲気がよかったですね。
投稿: アシタカ | 2006年6月 6日 (火) 21時46分
ご無沙汰しております。
この作品、人のいない荒廃感や美しい風景がとても印象的でした。走るゾンビは「ドーン・オブ・ザ・デッド」を先に見たので衝撃は少なかったかな(^o^;
こちらからもTB返させていただきます。
投稿: chibisaru | 2006年6月 6日 (火) 09時40分