『テルーの唄』
お気に入りのCD.NO9『テルーの唄』
今回紹介するCDは7月に公開されるスタジオジブリ最新作『ゲド戦記』の挿入曲『テルーの唄』です。この唄は萩原朔太郎の詩「こころ」にヒントを得た宮崎吾朗監督が作詞、「恋するニワトリ」や「しっぽのきもち」などで有名な谷山浩子が作曲を手がけ、18歳の新人歌手・手嶌葵が歌っています。
私がこの曲を最初に聞いたのは『ゲド戦記』の予告編を見たときでした。透き通る歌声と、切なくてそれでいて励まされる歌詞、素朴で親しみやすいメロディーに、聞いていて涙が出そうになりました。ここまで心を揺さぶられる唄には久しぶりに出会いました。
萩原朔太郎の「こころ」に触発された宮崎吾郎の歌詞は一つ一つの言葉が胸に染み入ります。人知れず自分の道を歩いていくことの寂しさや切なさを、美しい喩えで表現しています。聞き終わると、自分の心が洗われたような感じになります。ちなみに萩原朔太郎の『こころ』は次のような詩です。
『こころ』 萩原朔太郎
こころをばなににたとへん
こころはあぢさゐの花
ももいろに咲く日はあれど
うすむらさきの思ひ出ばかりはせんなくて。
こころはまた夕闇の園生のふきあげ
音なき音のあゆむひびきに
こころはひとつによりて悲しめども
かなしめどもあるかひなしや
ああこのこころをばなににたとへん。
こころは二人の旅びと
されど道づれのたえて物言ふことなければ
わがこころはいつもかくさびしきなり。
また手嶌葵の歌声がとても美しく、言葉のもつ力や魅力をさらに引き出しています。素朴であたたかく、優しい彼女の歌声は聞く人の心を落ち着かせてくれるものがあります。さすがスタジオジブリ、いつもながら素ばらしい歌手を見つけてくるものです。
ちなみに歌のタイトルになっている『テルー』とは原作では4巻と5巻に登場する人物で、親に殺され掛け、顔にひどいやけどを負った孤独な少女です。彼女はゲドとゲドの愛した女性テナと共に暮らすのですが、3巻をベースにした映画での彼女の設定や役割がどういうものなるのか楽しみです。
映画自体はどのような作品になるかまだ未知数ですが、唄に関しては傑作です。この唄が映画の中でどのように使用されるのか非常に楽しみです。ぜひ皆さんもこのCDを買って聞いてみてください。
ゲド戦記公式サイト:http://www.ghibli.jp/ged/
手嶌葵公式サイト:http://www.teshimaaoi.com/
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