『真夜中の弥次さん喜多さん 』この映画を見て!
第78回『真夜中の弥次さん喜多さん』
今回紹介する映画は脚本家として人気のある宮藤官九郎初監督作品であり、日本映画の異色作でもある『真夜中の弥次さん喜多さん』です。この映画はしりあがり寿の原作を下に、現実と幻想が入り乱れたシュールな映像とハイテンションなストーリーが展開されていきます。
私は始めてこの映画を見たとき、ぶっ飛んだ映像とストーリーに非常にはまってしまいました。初監督作品でこのような映画を作るとは宮藤官九郎さすが恐るべしです。シュールでポップな映像は、まるでテリー・ギリアムの映画を見ているかのような感じを受けました。また映画に随所に挟まれるギャグはどれも下らないものばかりですが、そのあまりの下らなさに私は大うけでした。この映画は常識を遥かに超えた弥次喜多ワールドが展開されており、はまる人ははまるだろうし、生理的に受けつけない人は全く受けつけない映画です。
ストーリー:「ヤク中の恋人・喜多八を、なんとか立ち直らせたい熱い同性愛者・弥次郎兵衛はお伊勢参りに出かけることを決める。お伊勢さんを目指し江戸を後にする2人。しかし、禁断症状に苦しむ喜多さんを連れての旅は、波乱万丈なものだった。」
この映画のストーリーを解説することははっきり言って全くナンセンスです。この映画は感性で見るものであり、現実と非現実の間を行き来する主人公たちの姿を楽しむ映画です。この映画は空虚な現実から地に足のついた現実を目指して旅をしていく2人が、結局現実も非現実も自分の世界の一部分だと受容するお話しです。この映画は現実逃避をすることで現実と向き合い、生きる力を得るという非常に奥の深いお話だと私は思っています。全体的に下らない話しであるにも関わらず、生と死のエピソードでは、なぜか分かりませんが切ない気持ちで胸がいっぱいになりました。
この映画の大きな見所として、豪華な役者たちの出演があります。こんなぶっ飛んだ作品によくこれだけの役者が集まったものだと関心します。特に主人公の弥次さん喜多さんを演じた長瀬智也 と中村七之助 。長瀬は熱血漢な同性愛者という役を、中村は薬物中毒者という役を見事に演じています。また脇を固める役者たちも楽しそうに演技しており、見ていて面白いです。
この作品は何も考えずに、弥次喜多ワールドに身をゆだねることが出来れば、とても面白い映画です。好き嫌いがはっきり分かれる作品だとは思いますが、日本映画史に名を残すカルト映画だと思います。ぜひ一度見てみてください!
製作年度 2005年
製作国・地域 日本
上映時間 124分
監督 宮藤官九郎
原作 しりあがり寿
脚本 宮藤官九郎
音楽 ZAZEN BOYS
出演 長瀬智也 、中村七之助 、小池栄子 、阿部サダヲ 、柄本佑 、森下愛子、 岩松了、 板尾創路 、竹内力、 山口智充、 清水ゆみ、 ARATA、 荒川良々、中村勘九郎、 生瀬勝久 、研ナオコ、松尾スズキ、寺島進
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コメント
アシタカさん、TB、感謝です♪
ここまでキッパリと好きだとおっしゃっているレビューは、
あまりお目に掛かれなかったので心底嬉しいですねぇぇ。
カゴメもこの作品はとても楽しめました。
何事に拠らず、思い切った・極端な物が好きなもので、
これを初めて観た時には、思わず快哉を叫んじゃいましたよ。
やっぱりね、他の誰も出来ない事しなきゃ、
「創作」とは言わんですもんね!!
投稿: カゴメ | 2006年7月 3日 (月) 09時02分