『キル・ビル2』この映画を見て!
第29回『キル・ビル2』
こんな人にお奨め!「カンフー映画、マカロニウェスタン、『サンゲリア』を知っている人か、こよなく愛する人」前回に引き続き、『キル・ビル』の続編の紹介です。前作はおもちゃ箱をひっくり返したかのようなハチャメチャな作りとなっていましたが、今作はうって変わって、落ち着いた味わいのハードボイルドな作品に仕上がってます。また前作はタランティーノ が愛する日本映画へのオマージュに溢れる作品となっていましたが、今作は香港映画とイタリア西部劇(マカロニウェスタン)へのオマージュに溢れる作品となっています。
ストーリーは前作に引き続き、「自分を殺そうとした仲間に復讐しようとする」という話しの続きで、前作の謎がいろいろ解明していきます。前作はアクションを見せる所に力を入れ勢いのあるストーリ展開でしたが、今作はタランティーノらしい会話シーンが随所にあり、じっくりと物語っていくストーリ展開となっています。前回のハチャメチャなアクションシーンやポップでキッチュな映像を期待して見ると肩すかしを喰うかもしれません。今作は前作の続きでありながら、別物の作品として見た方がいいと思います。今回はアクションシーンよりも会話シーンに力が置かれ、映像も落ち着いたハードボイルドな雰囲気の前作と全く印象の違う作品となっています。
私はラスト30分の主人公ブライドと敵のボスであるビルとの会話がとても印象に残っています。特にビルが語るスーパーマンの話は非常に面白い例え話でなるほどなと感心しました。
役者もいい演技をしています。特にマイケル・マドセン演じるだめ男は最高でした。何とも情けない死に方も含めて、いい味を出していたとも思います。あと暗殺団のボスを演じるデビット・キャラダインも落ち着いた演技の中に凶暴さを滲ませ印象に残っています。彼の最期はあっけない反面、かっこよかったですね。
今回も前作に引き続き、様々な映画から引用されているシーンやシチュエーションが多々あります。私が印象的だったのはイタリアゾンビ映画の傑作『サンゲリア』へのオマージュシーン(生き埋めにされたブライドが墓から出てくる所です)と中国でカンフーを習得するシーンです。他にも随所にマカロニウェスタンへの監督のこだわりが感じられるシーンが見られました。
ここまで1部と2部で印象の違う作品というのも珍しいです。一つの話しであるはずなのに語り口が違うとこんなに印象が変わるのかとびっくりしました。1作目をみて、これちょっと合わないと思った人も2作目は意外にいけるかもしれません。逆に1作目のノリを期待した人は2作目に失望するかもしれません。現在、1部と2部を編集し直して1作の作品にまとめる作業を行っているそうですが、ここまで語り口が違う2作品を1作品にまとめあげると、どんな印象になるのか気になる所です。
映画好きの人なら『キル・ビル』2部作は一度は見て損はない作品だと思いますよ。
製作年度 2004年
製作国・地域 アメリカ
上映時間 136分
監督 クエンティン・タランティーノ
脚本 クエンティン・タランティーノ
音楽 RZA 、ロバート・ロドリゲス
出演 ユマ・サーマン 、デヴィッド・キャラダイン 、ダリル・ハンナ 、マイケル・マドセン 、ゴードン・リュウ
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