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『女に選ばれる男たち 男社会を変える』街を捨て書を読もう!

『女に選ばれる男たち 男社会を変える』 著:安積 遊歩、辛 淑玉  太郎次郎社
女に選ばれる男たち―男社会を変える 今回紹介する本はマイノリティが日本社会で生きるとはどういうことか考えさせられる本です。著者は身体障害者であり、一児の母親である安積 遊歩さんと在日コリアン三世で日本人の男性と結婚した辛 淑玉さんです。2人とも障害者、在日、女性というマイノリティとして生きる中で体験した差別や抑圧について語ります。障害があるが故に一段低い人間と差別され、日本国籍ではないということで差別され、女性であるが故に家庭に縛り付けられる。著者たちはそんな日本の中にある差別や抑圧の構造やその背景を分析していきます。
 2人が語る差別や抑圧の体験を語った文章はとても強烈です。病院や学校、地域生活の中での安積さんの受けた差別はこの社会が障害者を対等な人間として扱ってこなかった事実を突きつけます。そして障害者が健全者がイメージする障害者像から離れたことをしようとすると、激しくバッシングにあうか、変に美談として取りあげられる今の社会に対して怒りを訴えます。また辛さんも在日として生まれ、国籍が違うというだけで就職や結婚、選挙権などで差別され、国家からもまるで犯罪者予備軍のように扱われる日本社会の排他性への怒りを訴えます。
 さらに著者たちは日本社会の女性への抑圧や差別についても激しい怒りをぶつけます。女性というだけで、子どもを生むことを強制され、家事や育児を男性から任され、社会進出も制限される日本社会。今の日本人が抱く男性・女性それぞれがもつ役割像を一度解体する必要性を2人は説きます。
 著者は最後に日本のマイノリティに対する差別や抑圧の問題はマジョリティ側の問題であり、マイノリティがマイノリティであるが故に「がんばらなくても」生きていける社会になるように「一緒に」考えて欲しいと訴えます。そして2人は政治や社会に翻弄されないために、自分たちが政治的な存在として生きることを宣言します。
 私は男性であり、日本人であり、今のところ障害は持っていませんが、この本は自分の生き方を反省させられました。そして、思いこんでいた役割から解放され、自分の生き方がすごく楽にもなりました。
 この本はぜひ多くの人に読んでもらい、日本社会が抱える差別や抑圧の問題と向き合ってもらえればと思います。

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