『妖怪大戦争』この映画を見て!
第45回『妖怪大戦争』
見所:「実写で甦る数々の妖怪たち。豪華なキャスト。」
今回紹介する映画は昨年の夏に『宇宙戦争』や『スターウォーズ』などのハリウッド超大作を相手に公開された日本映画の超大作?『妖怪大戦争』です。私はこの映画をDVDで見たのですが、思った以上に面白く楽しめる作品となっていました。
この映画を見てまず驚いたのはスタッフとキャストの豪華さです。まず水木しげる・荒俣宏・京極夏彦・宮部みゆきという日本を代表する妖怪に詳しい作家が集まりプロデュースチーム「怪」を結成し、原案を執筆。(彼らは映画のキャストとしても特別出演しています。)
監督は現在日本一忙しい監督であり、カルト的人気を誇る三池崇史。彼の代表作としては『殺し屋1』『ゼブラーマン』『着信アリ』などがあり、ヤクザ映画からホラー、ミュージカル、コメディとあらゆるジャンルの映画を撮りまくっています。彼の映画は時々暴走するときがあり、見ている側を唖然とさせる描写や展開をするときがあります。この映画でも三池監督ならではの子どもが見るにはブラックなシーンがあったり、悪ふざけするシーンなどがあります。しかし、三池色は適度に押さえられているので、子どもが見ても手に汗握る冒険活劇となっています。
次にキャスト。これは日本を代表する大物俳優から個性派俳優、テレビでよく見るタレントまで総出演です。主人公は今人気の子役、神木隆之介。適役の加藤保憲に豊川悦司、鳥刺し妖女・アギに『キル・ビル』に出ていた栗山千明。この2人は悪役をとても楽しそうに演じています。他にも菅原文太、ナイナイの岡村、雨上がり決死隊の2人、竹中直人、佐野史郎と知っている顔が次から次へ登場します。妖怪役をしている役者は、特殊メイクで誰が誰を演じているのか分かりにくいですが、最後のエンドロールのキャストであの人がこの役をしていると知ったらびっくりすると思います。
ストーリー:「10歳の少年タダシは、両親の離婚で田舎で母と祖父と暮らしていた。まだ田舎にとけ込めないタダシは神社のお祭りで世界に平和をもたらすといわれる伝説的存在=“麒麟送子”に選ばれる。その頃、世界を滅亡させようとする魔人・加藤保憲の悪霊軍団が妖怪を誘拐していた。“麒麟送子”に選ばれたタダシの所に妖怪が助けを求めてくる。そいてタダシは妖怪と共に魔人・加藤保憲の悪霊軍団に立ち向かっていく。アクションあり、笑いあり、涙ありの大冒険ファンタジー」
この映画はとにかくハリウッド映画も顔負けのスケールで話しが展開していきます。『帝都物語』の魔人・加藤保憲が悪役で登場するのは笑いますが、ストーリーは少年の目線で終始描かれ、とても良くできています。途中から世界の存亡をかけた戦争に展開するというスケールの大きさはハリウッドも顔負けです。ラストもとても爽やかな余韻を残します。
映像もテレビアニメ『ゲゲゲの鬼太郎』に登場してきた妖怪たちが実写で出てきて妖怪好きにはたまらない映像のオンパレードです。しかし実写にするとしょぼい妖怪たちもいましたが・・・。CG映像は完成度がもう一つで日本映画の限界を感じてしまいます。あのスケールの大きさを緻密に表現しようと思うと予算や人材がもっと必要なのでしょうね。ここはとても残念な所です。
この映画にハリウッド大作にはない独特な味わいがあります。懐かしい日本の夏の田舎の風景。ハリウッドのモンスターにはない愛嬌のある妖怪たち。また子どもが見たらゾクッとするようなお色気シーンに結構迫力のある戦闘シーン。確かにB級映画のようなチープさやストーリーが子ども向けで気恥ずかいセリフがあったり、説教臭いところもあります。しかし、『ゲゲゲの鬼太郎』を見た世代はきっと楽しめると思います。
製作年度 2005年
製作国・地域 日本
上映時間 124分
監督 三池崇史
製作総指揮 角川歴彦
原案 水木しげる、荒俣宏、京極夏彦、宮部みゆき
脚本 三池崇史 、沢村光彦 、板倉剛彦
出演 神木隆之介 、、南果歩 、成海璃子 、佐野史郎 宮迫博之(雨上がり決死隊)、豊川悦司、栗山千明、菅原文太
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