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『ドールズ』この映画を見て!

第52回『ドールズ』 北野武特集4
見所:「美しい日本の四季の風景。斬新な衣裳デザイン。純粋で残酷な愛の物語。」
Dolls [ドールズ]
 今回紹介する『ドールズ』は、北野武監督が描く究極の愛の形を描いた映画です。近松門左衛門の『冥途の飛脚』の主人公、梅川と忠兵衛をモチーフにした構成で作られており、残酷で純粋な愛の物語が展開していきます。
 この映画はまた映像もいつものキタノブルーと呼ばれる青が基調のモノトーンの映像から、赤や黄など色彩豊かで幻想的な映像が展開されます。特にこの映画では日本の四季をとても綺麗に撮影しており、観客はその美しさに息を呑むと思います。衣装も『BROTHER』かファッション界の鬼才、山本耀司が斬新なデザイン・色遣いの衣裳を提供して、観客を魅了します。そして音楽は久石譲。繊細に研ぎ澄まされた最小限の音楽が、幻想的な映像をさらに際だたせます。
 ストーリーは3つの話しから構成されています。どの話しもどこか非現実的で幻想的でおとぎ話のようです。その反面、とても生々しく残酷でもあり、愛ゆえの孤独や哀しみが痛切に伝わってくる話しでもあります。
 ストーリー:「1本の赤い紐に結ばれ、あてもなくさまよう男と女がいた。女は男に振られて気が狂い、病院に入院していた。男は全てを捨てて彼女を連れ出し、当てもない旅に出ていた。迫り来る死期を悟った老境のヤクザと彼を長年待ち続ける女。女は若いときに男と出会い、弁当を食べてもらっていた。しかし、突然姿を消した男。女は弁当を持って男が来るのをずっと待っていた。事故で人気の絶頂から転落したアイドルと、そんな彼女を慕い続ける孤独な青年。青年は転落したアイドルへの愛ゆえに狂気に走る。
 北野監督は「愛とは主観的であり、暴力的なものである」という価値観の基、この映画を作ったそうです。それ故に描かれる登場人物たちの行動はどれも他人から見れば理解しがいものです。自分の人生も全て相手の為に投げ出そうとする登場人物たち。その姿は狂気としか言いようがありません。愛するが故に常軌を逸した行動をとる主人公たちの姿を通して、純粋な愛の本質を描きます。この映画が非現実的でおとぎ話のような作りになっているのは、愛とは主観的な思いこみであり、純粋であればあろうとするほど、現実から逸脱してしまうという愛の本質を伝えるためです。この映画は好きな人とくっつく、くっつかないなどの決して甘いラブストーリーではありません。とても辛口で残酷で、それでいて究極の愛の形を描いています。
 この映画は北野映画らしく、たくさんの死が扱われます。この映画で描かれる死は愛の成就です。純粋に愛しすぎた故に現実から逸脱した彼らが、その愛を全うしようと思うと、もはや死という永遠に時の止まった世界に身を置くしかないという哀しみが描かれます。そういう意味でこの映画における死はある意味ハッピーエンドです。死によって彼らは永遠に愛の中に身を置くことが出来るのですから・・。
 美しく幻想的な映像と音楽の中で展開される残酷なほど美しい愛の姿。ぜひ見てみてください!

製作年度 2002年
製作国・地域 日本
上映時間 113分
監督 北野武 
脚本 北野武 
音楽 久石譲 
出演 菅野美穂 、西島秀俊 、三橋達也 、松原智恵子 、深田恭子 

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Dolls [ドールズ]  映画『Dolls ドールズ』を観た。北野武監督で菅野美穂、西島秀俊、三橋達也、松原智恵子、深田恭子出演。3組の男女の愛をテーマにした物語である。色彩が赤で表現されていてチャン・イーモウ監督を思わせるほど鮮やかな映像美だと感じた。  3組の男女では、ヤクザの親分をひたすら待ちつづける女性の話がよかった。 ... [続きを読む]

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受信: 2006年3月 3日 (金) 10時48分

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