『ショーン・オブ・ザ・デッド』この映画を見て!
第30回『ショーン・オブ・ザ・デッド』
こんな人にお奨め!「ロメロの『ゾンビ』が好きな人、最近のゾンビ映画が物足りない人」
今回紹介する映画は日本では劇場未公開の傑作ゾンビ映画です。この映画はゾンビ映画好きの私にとっては久しぶりの当たりのゾンビ映画でした。
ここ何年かゾンビ映画ブームで『バイオハザード』『ドーン・オブ・ザ・デッド』『ランド・オブ・ザ・デッド』など数々のゾンビ映画が公開されましたがどれももう一つでした。その理由として、ゾンビ映画に新しい要素を盛り込もうとしたところにあると思います。ゾンビを走らせたり、知能付けさせたりとしたせいで、ゾンビの魅力が逆に半減してるような気がします。ゾンビはやはり何考えているのか分からず、ゆっくり歩いて、人を襲わないと怖くありませんよね。
そんな中、『ショーン・オブ・ザ・デッド』は久しぶりに正当派のゾンビ映画でした。
この映画は正統派のゾンビ映画なのですが、基本的にコメディタッチで話しが進んでいくので、怖くはありません。むしろ主人公たちのマイペースさに笑ってしまうくらいです。それでいてゾンビ映画のツボをきちんと押さえており、昔からのゾンビ映画ファンも満足させる出来となっています。もちろんゴアシーンも手を抜かずハードに描写されています。
ストーリー「ロンドン郊外に住むショーンは彼女がいるにもかかわらず、いつもまったりと脳天気に暮らしていた。ショーンの楽しみは親友のエドとゲームをしたりパブに入り浸ること。そんなある日、ショーンは彼女のリズにあきれられてふられてしまう。何とか彼女とよりをもどしたいショーンだったが、上手くいかずパブでエドと酒を飲んで憂さを晴らしていた。そんな頃、ロンドン各地で死体が蘇り、人を襲う事件が発生。街中がゾンビに覆いつくされようとしていた。しかし、そんなこと全く気づかないショーンとエド。だが彼らもゾンビの襲撃を受け、ようやく事態を知り、家族や恋人の救出に向かうが・・・。」
この映画はとてもまったりと話しが進んでいきます。ゾンビが街を徘徊していてもなかなか気づかず、襲われてもレコードを投げて退治しようとする姿は見ていて滑稽で笑えます。でもそれでいて、妙にリアリティも感じたりします。実際にもし街にゾンビが溢れてても、多くの人は案外この主人公のような行動を取ったりするのではと思います。世界が危機に陥っているのに、主人公2人がそんなこと全く意に介せずマイペースに行動するところがこの映画の魅力の一つであることは間違いありません。
ゾンビとの攻防シーンも緊張感漂いながら、どこか抜けている登場人物たちの姿に笑えます。レコードを投げてゾンビを追い払うシーンで、いちいち投げていいレコードか確認するシーンは笑えました。またゾンビのまねをして、ゾンビの中を通り抜けようとしたりするシーンも最高です。また逃げ込んだ先がいつも通っていたパブという設定は、主人公たちの脳天気さがよく表れていて面白かったです。映画全編イギリスらしい皮肉とウエットに富んだユーモアの連続で、見ていてくすくす笑えます。
それでいて、後半ドラマとしてもきちんと盛り上がりどころがあり、ぐっと胸に来るシーンもあります。ラストはゾンビ映画のセオリーに反してハッピーエンドなのですが、この終わり方が変にリアルでもあり、ユーモアにも富んでいて傑作でした。
随所に往年のゾンビ映画のオマージュもあり、昔からのゾンビ映画ファンはにたにた笑えるシーンも多数あります。また音楽の選曲がよく、クィーンの曲がとても効果的に使われています。特にラストの歌はこの映画のオチにとても合っていて良かったです。
この映画が劇場未公開なのはもったいないくらいです。ぜひ皆さんもレンタルでもDVD買ってもどちらでもいいので、この傑作ゾンビ映画を見てみてください。
製作年度 2004年
製作国・地域 イギリス
上映時間 100分
監督 エドガー・ライト
製作総指揮 ティム・ビーヴァン 、エリック・フェルナー 、アリソン・オーウェン 、ナターシャ・ワートン 、ジェームズ・ウィルソン[製作]
脚本 サイモン・ペッグ 、エドガー・ライト
音楽 ダン・マッドフォード 、ピート・ウッドヘッド
出演 サイモン・ペッグ 、ケイト・アシュフィールド 、ニック・フロスト 、ディラン・モーラン 、ルーシー・デイヴィス
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コメント
こちらこそTBありがとうございます。確かに彼らほど平常心の主人公たちはいませんね。世界の崩壊とマイペースな2人、そのギャップが面白い映画ですよね。
ではまた遊びにきてくださいね。
投稿: とろとろ | 2006年2月14日 (火) 20時24分
TBありがとうございました。
本人はいたって真面目なつもりなのに傍から見るとバカにしか見えない…
けど考えてみれば、彼らほど“平常心”でいられたゾンビ映画の主人公はいないかも知れませんね。
投稿: 二枚舌 | 2006年2月14日 (火) 19時29分