『海からの贈物』街を捨て書を読もう!
『海からの贈り物』 作:アン・モロウ・リンドバーグ 新潮文庫
この本はアメリカの女性飛行家で有名飛行家の妻である作者が、離島に滞在して、生きることや幸せについて考えたエッセイ集です。
いつも家族や社会を養うために、自らの人生を捧げるために費やされてきた女性の人生。そんな女性たちが、一人の人間として、一人の女性として現代の中でどう生きていくかについて、女性の生き方・恋愛・結婚・孤独・現代文明の問題について深い考察がなされています。
文明が進み、便利な生活を送れるようになり、時間に余裕ができたはずの私たち。しかし物や情報に満ちあふれている現代社会の中で、私たちはいまここにいる自分を見つめるための時間を見失ってしまっていると作者は訴えます。
作者は文明から離れた孤島の何もない小さい小屋に住み、昼間は海に行き、泳いだり貝殻を拾う生活をしながら、自然の中で自分の女性としての生き方を振り返ります。女性は家族や社会を支えるために身を捧げる人生を送ってきた。しかし、そんな女性たちも過酷な生活の中でも自分を見つめる時間をもっていた。しかし現代文明が進み、豊かになるに連れて、時間に余裕ができたはずなのに、自分を振りかえる時間がもてなくなった女性たち。情報や欲望を刺激され踊らせれ、あわただしく生きる女性たち。作者はそんな女性たちに今ここで生きている自分の人生を振り返り、欲望や情報に振り回されない今ここの自分の生活を大切にしなさいと訴えます。
私は男性ですが、この本をよんではっと気づかされる部分が多かったです。特に人間は本質的に孤独であることを書いてある箇所と男女の関係も年を積み重ねるごとに変化していくものであることを書いてある箇所は印象に残りました。
この本はとてもコンパクトな文章の中に、生きる上での大切なエッセンスがいっぱい詰まっています。ぜひ皆さんも(特に女性の方)読んで見てください。
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