『タワーリング・インフェルノ』この映画を見て!
第56回『タワーリング・インフェルノ』
見所:「燃える138階建てのグラスタワー、消防士たちの炎との格闘。」 今回紹介する映画は70年代を代表するパニックアクション大作『タワーリング・インフェルノ』です。この映画は当時流行していたパニック映画の頂点を目指すべく、ハリウッドを代表する20世紀FOXとワーナー・ブラザースという二つの制作会社が手を組み、一流のスタッフとキャストで制作されました。特にキャストは当時人気だったポール・ニューマンとスティーブ・マックィーンの2人をW主演に据え、脇役にウィリアム・ホールデン、フェイ・ダナウェイ、名優フレッド・アステア、ジェニファー・ジョーンズ、ロバート・ボーン、ロバート・ワグナーといった大物俳優が起用されました。昔を知っている映画ファンでないと名前を聞いてもあまりピンとこないかもしれませんが、ブラッド・ピットとトムクルーズが主演を演じているようなものです。これだけ大物俳優が大挙出演している作品は現代のハリウッドでもなかなか制作できないと思います。
私がこの映画を見たのは幼稚園の時です。最初見たときは、迫力のある映像、緊迫したドラマ、スティーブ・マックィーンの格好良さに終始圧倒されっぱなしでした。それからテレビで放映される度に欠かさず見たものでした。パニック映画はこれ以外にも『ポセイドン・アドベンチャー』や『大地震』『エアポートシリーズ』などたくさんありますが、この映画はその集大成といった感じです。
この映画はもう30年以上前の映画ですが、今見ても色褪せることなく輝く映画です。この映画は撮影のために30メートル以上あるミニチュアのビルを作り、5階建てのセットを各撮影所に作ったそうです。実際にセットやミニチュアに火を放ち撮影した映像は今見ても迫力満点です。またポール・ニューマンとスティーブ・マックィーンというW主演の演技も見物で、特にスティーブ・マックィーンは仕事一筋の消防隊長を渋い演技で、観客に強い印象を残します。
ストーリー「サンフランシスコに建てられた、地上138階建ての超高層ビル『グラス・タワー』。その落成式当日、電気系統のチェック中に地下にある発電機からぼやが発生。すぐに火は消し止められたが、時同じくして81階の倉庫でもぼやが発生していた。しかし誰も気付くことなく、火は倉庫を燃やしていた。そして夜になり、各界の著名人を集め、134階で落成式のパーティーが始まる。その頃、火災は倉庫から階全体に燃え広がり始める。防火設備の不備の中、またたく間に炎に包まれるグラスタワー。ビルにとり残された人々を救うため、ビル設計者や消防隊長らは救出に向かう。」
昨年末からマンションの偽装問題が日本中を震撼させましたが、この映画もビルのオーナーや工事担当者がコストダウンをするために、設計とは違う電気系統の偽装工事をして、火災に至ります。そういう意味で、この映画は決してフィクションの話しではなく、今見てもリアリティのある話しです。責任をなかなか取ろうとしないオーナーや工場担当者の姿はヒューザーの社長を思い出させます。この映画は人災の恐怖を描き、警鐘を促します。
この映画は火災が発生するまでのテンポがゆったりしていますが、それ以降は見せ場の連続です。宙づりになったエレベーターの救出、ビルとビルとをロープでつないでのゴンドラによる救出、そしてラストの大胆な消火方法。手に汗握るシーンの連続で、息つく暇がありません。当時はCGもない時代だったので、ほとんど実際の炎を使用し、スタントマンが危険なシーンを演じています。その為、最近にはない生の迫力があります。また人間ドラマとしても、老詐欺師と未亡人との恋などほろりとさせるものがあります。ラストの老詐欺師の表情は見ていて切なかったです。さらに消防士の命がけの活躍も丁寧に描かれおり、好感が持てます。小さいときはこの映画を見て、消防士に尊敬の念を抱いたものでした。映画のラストの消防隊長のセリフなどは建築関係者にとってはとても重い一言です。
古い映画ではありますが、今見ても充分楽しめる作品です。また現代の建築に対して警鐘を鳴らす作品でもあります。ぜひ見てみてください。
| 固定リンク
「映画・テレビ」カテゴリの記事
- 『トゥルー・ロマンス』この映画を見て!(2011.01.09)
- 『アンストッパブル』この映画を見て!(2011.01.09)
- 『スカーフェイス』この映画を見て!(2011.01.09)
- 『バトル・ロワイアル』この映画を見て!(2011.01.04)
- 『大地震』映画鑑賞日記(2011.01.03)
「この映画を見て!~お奨め映画紹介~」カテゴリの記事
- 『君の名は』この映画を見て!(2017.01.22)
- 『トゥルー・ロマンス』この映画を見て!(2011.01.09)
- 『アンストッパブル』この映画を見て!(2011.01.09)
- 『スカーフェイス』この映画を見て!(2011.01.09)
「アクション映画」カテゴリの記事
- 『トゥルー・ロマンス』この映画を見て!(2011.01.09)
- 『アンストッパブル』この映画を見て!(2011.01.09)
- 『バトル・ロワイアル』この映画を見て!(2011.01.04)
- 『大地震』映画鑑賞日記(2011.01.03)
- 『ポルノ時代劇 忘八武士道』この映画を見て!(2010.12.29)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント
アシタカさん、TB、感謝です♪
>ほとんど実際の炎を使用し、スタントマンが危険なシーンを演じています。
CGとはまた違う迫力がありますね。
あのスタントマンの中に、
未来のジョン・ランディス監督がいるらしいです。
何だか年輪を感じさせる作品ですなぁぁ(笑)。
投稿: カゴメ | 2006年7月23日 (日) 09時10分
こんばんわ。
TBありがとうございます。
この映画のスティーブン・マックイーンの格好良さは憧れますね。部下の信頼も厚く、黙々と仕事をこなす姿は尊敬しますね。
投稿: アシタカ | 2006年2月28日 (火) 20時02分
初めまして。TBありがとうございました。
こちらからも相互TBさせていただきます。
私もこの映画、好きですよ。
オハラ隊長が、危険なエレベーター救助作戦に向かう為、消防隊員にメンバーを募った時、隊員全員が一歩前に進み出たシーンが印象的でした。
自分自身、仕事に対する心構えを問う時、このシーンをよく思い浮かべます。
耐震偽造問題を聞いた時、私もこの映画の火災原因が思い浮かびました。
なんだか、イヤな世の中です。
投稿: こなん | 2006年2月28日 (火) 00時22分
こんばんわ。みなさまコメントありがとうございます。この作品は私にとって始めて見た洋画なので思い出深いです。この映画見た後、家族でビルの屋上であったビアガーデンに行ったのですが、もし火災が起きたらどうしようと、本気で心配してご飯が食べれませんでした。それくらい小さい子どもには強烈な映画でした。
投稿: アシタカ | 2006年2月27日 (月) 21時31分
子供の頃に観たきりなのですが、火事の怖さとともにエレベーターは危険だということが刷り込まれているくらい強烈なインパクトがありました。
大人になってから見直すともっといろんなことが見えてきそうですね。
こちらからもTBさせていただきます。
投稿: chibisaru | 2006年2月27日 (月) 20時41分
トラックバックありがとうございます。
わたしもこの映画は強く印象に残った映画です。オハラ隊長のラスシーンのセリフは、子供心にも忘れられないセリフでした。
投稿: うるば | 2006年2月27日 (月) 20時16分