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『AKIRA』この映画を見て!

第46回『AKIRA』
見所:「2019年の近未来東京の緻密な映像、芸能山城組による音楽、健康不良少年たちの壮絶なバトルと友情物語。」
akira  今回紹介する映画は日本アニメの素晴らしさを世界中に広めた傑作『AKIRA』です。この映画は10億円の巨費を投じて3年という日数をかけて制作された超大作です。監督は原作も手がけた大友克洋。音楽は世界各地に伝わる伝統的合唱を研究する芸能山城組。アニメーターは日本アニメを支える超一流のメンバー。この映画はストーリー・映像・音楽どれをとっても20年前の映画とは思えないほどクオリティが高く、今見ても強烈なインパクトとパワーを持っています。
ストーリー:「第3次世界大戦から31年後の2019年。日本の首都・東京は先の大戦で謎の崩壊をして、新都市ネオ東京が作られ、経済的に復興を遂げて繁栄の絶頂にいた。しかしその反面、新都市ネオ東京では少年たちによる暴走行為や、政府に対する若者たちによるデモ行為、反政府ゲリラによるテロ活動などが頻発して治安は不安定になっていた。そんなある日、反政府ゲリラによって軍の極秘研究所から少年が連れ出される。少年の行方を必死に追う軍。その頃、不良少年金田のバイク集団が街に繰り出し、他のグループと抗争をしていた。その途中、金田の親友・鉄雄が少年と接触事故を起こしてしまう。事故現場にかけつけた軍は少年を連行。鉄雄も一緒に連行されてしまう。そして金田のバイク集団も警察に連行される。金田は警察所で反政府ゲリラ組織のケイという少女に出会う。そして政府がひた隠しにする極秘プロジェクト「AKIRA」の存在を知る。その頃、軍のラボに収用された鉄雄は自分の中で新たなる力(超能力)が覚醒したことに気付く。彼は自分が手に入れた超能力を使い、AKIRAの秘密を暴き、東京を支配しようとする。金田は鉄雄の暴走を食い止めようと、対決を挑むが・・・。
 この映画のストーリーはSF・友情・科学・哲学などさまざまな要素が込められています。人類の進化や世界の終末を描いたスケールの大きい話しでもあれば、若者の友情を描いた青春ドラマでもあります。同名の原作もあるのですが、映画よりも遙かにスケールが大きく、ストーリーも面白いです。(原作はまた後日紹介します。)映画は原作をとてもコンパクトにまとめたダイジェスト版といった感じであります。その為、映画は説明不足な所があり、物語の背景が分かりにくいところがあります。しかし、あの原作をストーリーが大きく破綻することなく2時間にまとめあげたのは大したものだと思います。
 映画のストーリーは金田と鉄雄という2人の若者の友情と対決をメインに描いています。いつも鉄雄をかばって兄貴的存在だった金田。彼の兄貴ぶった態度に不満を持ち、いつか彼を追い越したいと思っている鉄雄。この2人の微妙な関係をしっかり描き、ラストの対決シーンは見ている者を熱くさせます。そして映画のラストは終末後の世界に生き残った若者たちへの希望が描かれ、重々しいラストでありながらも清々しい余韻を感じさせます。
 この映画はストーリーもさることながら、映像・音楽の魅力が大きいです。まず映像ですが、終始インパクトのあるシーンの連続です。ネオ東京の闇を疾走するバイクシーンの圧倒的迫力、若者によるデモシーンなどのモブシーンの躍動感、鉄雄対金田の想像を絶するバトルシーン、力を制御できなくなった鉄雄の肉体の変容シーンの圧倒的迫力、ラストのなぎ倒されていく超高層ビル。どのシーンもダイナミックさと緻密さが同居しており、動く絵としての魅力に溢れています。
 また映画の舞台であるネオ東京の風景は緻密に描き込まれており、リアリティに満ちた近未来東京の姿を見せてくれます。ネオ東京の風景は60年代安保の時代を思わせるような人々のエネルギーに満ちており、またブレードランナーで描かれる都市のような退廃的魅力さもあります。
 さらにこの映画は音楽がとてもインパクトがあります。世界各地の民族の合唱法を研究し、再現する集団「芸能山城組」が手がけているのですが、世界各地の民族音楽・伝統音楽の手法を映画音楽に取り入れており、無国籍都市ネオ東京の雰囲気やストーリーや主人公がもっている躍動感を音楽で伝えようとしています。独特なリズムにメロディーは一度聴いたら耳から離れません。特にオープニングのバイクシーンで流れるねぶた祭りの掛け声が流れてくる音楽は若者たちがもつエネルギッシュさを音楽で巧みに表現しています。
 この映画はストーリーに粗もありますが、とても勢いのある映画です。緻密でダイナミックな映像や民族音楽を多用した独特なリズムにメロディー。この映画は映像と音楽に酔いしれる映画です。この映画はジブリ映画しか見たことない人にとってはとても強烈な印象を残すと思います。ぜひ見てみてください!

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コメント

こんばんわ。コメントありがとうございました。私は日本語の原作を持っているのですが、あの話しを本当によくまとめたものです。この映画は映画史に残る傑作だと私も確信しています。ジブリだけでなく、こういうアニメの名作もテレビのゴールデンで放映してもらいたいですよね。

投稿: アシタカ | 2006年2月26日 (日) 20時38分

こんにちわ。
原作者、大友克洋の大ファンでAKIRAは英語版まで持ってますが、ほんと、よく完結できたなっていうくらい超大作ですよね。
映画版はこの超大作を良くぞ2時間にまとめあげたなと驚きます。原作を知らない人には幾分説明不足でしょうが補ってあまりあるパワーで圧倒、という感じでしょうか。
将来、漫画が日本文化として歴史の教科書に紹介されるとしたら、きっとAKIRAも紹介されることでしょうね。
そういった、オーラをこの作品には感じます。

追伸:T.B.ありがとうございました。

投稿: yok | 2006年2月26日 (日) 12時39分

TBありがとうございました。確かにこの作品はエグイかもしれませんね。特にラストとか。苦手な人は苦手かもしれません。
私も大友さんの大ファンでコミックもほとんど持っているのですが、確かに大友さんの絵やストーリーは癖がありますよね。

投稿: とろとろ | 2006年2月23日 (木) 15時55分

こんにちは。
強烈なというか圧倒的なパワーを感じる作品ですね。
原作はダイスキで何度も読み返していました。
だから、すんなり映画にも入っていけたのだと思います。それでも、今見るとかなりエグくて正直ちょっと食傷気味になるシーンも多々あり(^o^;
好きは好きなんですが、大友さんらしいなぁと思える作品でもあります。

投稿: chibisaru | 2006年2月23日 (木) 13時35分

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» #319 AKIRA [風に吹かれて-Blowin' in the Wind-]
監督:大友克洋 原作者:大友克洋 脚本:大友克洋 、橋本以蔵 音楽:芸能山城組 声優:岩田光央 、佐々木望 、小山茉美 、石田太郎 、鈴木瑞穂、玄田哲章 1988年 日本 大友克洋氏原作の漫画を同氏が監督としてアニメーション映画として製作。 廃頽的な近未来のネオ東京を舞台に混乱の世界の中で金田や鉄雄が数奇な運命に翻弄されるSFアニメ大作。 金田のバイクぅぅぅぅぅっ!!!かっこいーーーーー! バックも出来るよ!(笑)←話にはあまり関係ないけど(^o^; さすがにあの大作を二時間くらいに収め... [続きを読む]

受信: 2006年2月23日 (木) 13時31分

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