私の映画遍歴6『映画音楽の魅力』
私は小さいときから映画音楽をよく聴いていました。私の父親がオーディオ好きで、家に立派なオーディオ機器があり、映画好きの母がよく映画音楽のレコードをかけて聴いていたので、私も側でよく聴いていました。母がよく聴いていたのは一昔前の映画音楽で、『風と共に去りぬ』『ある愛の詩』などのメロドラマのテーマ曲や『荒野の用心棒』『シェーン』などの西部劇のテーマ曲などが多かったです。私自身は哀愁漂う映画音楽が好きで、エンニオ・モリコーネなどのイタリア西部劇の曲が特にお気に入りで、よく一人でかけて聴いたものでした。そしてテレビなどで映画を見るときも、映画音楽を気にしながら見るようようになり、自分が好きな映画にかかっていた曲のレコードを親にせがんで買ってもらったりしてました。
そして中学生になったあたりから、自分で映画音楽のサントラを集めるようになりました。私は『ニュー・シネマ・パラダイス』のエンニオ・モリコーネの哀愁漂うメロディーや『スターウォーズ』のジョン・ウィリアムスのハリウッドならではのダイナミックなシンフォニックサウンドが特に好きで、この2人の手がけた映画音楽のサントラを好んで買い集めたものでした。高校生あたりからは宮崎駿や北野武の音楽を手がける久石譲のサントラにはまり、彼が手がけたCDはほとんど買いそろえていきました。
映画サントラの魅力はもちろん音楽を聴くだけで映画のシーンや感動が再現されるところにあるのですが、映画音楽単体でも完成度が高ければ、スタンダードな名曲として映画をあまり知らなくても聴いて楽しめるところにもあると思います。
「名作には印象に残る音楽」があると言われているように、映画にとって音楽とは映像の添え物などではなく、重要な映画の一つの骨格です。セリフで語られない主人公の心情を代弁したり、その場の雰囲気を語ったり強調したり、映画のテンポや流れをよくしたり、時には映画のテーマそのものを語ったりと映画の中で音楽の果たす役割はとても大きいです。映画でどのような音楽を、どのような場面で流すかで、その映画の個性や色が出てきます。有名な監督たちはお気に入りの作曲を抱えており、彼らに曲を書いてもらうことで、自分の映画の色を付けてもらっています。(久石譲と宮崎駿、スピルバーグとジョン・ウィリアムス、エリック・セラとリュック・ベッソンと言うように。)また映画によってはクラッシックやポップスの既成曲をうまく映画音楽として取り入れ、映画の完成度を高めている作品もあります。
良い映画は見終わった後にその映画に流れていた音楽を聴いただけでその映画のシーンや感動が再現されます。きっと皆さんも印象に残っている映画音楽がいくらかあると思います。その映画はきっとあなたにとって名作の映画だと思いますよ。最後に私が音楽が印象に残った作品を10本紹介したいと思います。
・私が特に映画の中で音楽が印象に残った作品ベスト10
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』
アメリカのギャング映画なのですが、音楽がとても効果的に使われており、映画全体に漂うノスタルジックな雰囲気を音楽が醸し出しています。イタリアの映画音楽第一人者、エンニオ・モリコーネの最高傑作です。特にパンフルート奏者ザンフィルが奏でる哀愁漂うメロディーが最高にしびれます。『アマポーラ』や『イエスタデイ』などのまた既成曲も効果的に使われております。映画のサントラもとても素晴らしく夜中一人でウィスキーなどを飲みながら聴くと感傷的な気分に浸れます。
『天空の城ラピュタ』
宮崎駿の映画はどれも久石譲が手がけており、どの作品も音楽の完成度が高く、見終わった後強い印象を残すのですが、特に『天空の城ラピュタ』は音楽の完成度が素晴らしいです。主題歌『君をのせて』も素敵ですし、映画で流れる曲もメリハリがあり、映像とのシンクロも最高です。(特に中盤のシータ救出シーン!)どの曲もメロディーも美しく、映画のもつ壮大でどこかもの悲しい雰囲気をよく伝えてくれます。
『スターウォーズ』
スターウォーズの曲は皆さん知っていると思います。映画のオープニング、あの壮大な曲がかかっただけで、いっぺんにスターウォーズの世界に観客を引き込んでくれます。ダース・ベーダーの曲もとても印象的で、あの曲が流れてくるとダース・ベーダーの顔が浮かんできます。
ジョン・ウィリアムスは私のお気に入りの作曲家でスピルバーグとのコラボレーションで数々の名ナンバーを作曲しております。彼の映画音楽の魅力は印象的なメロディーとフルオーケストラを使ったダイナミックな音。そんな彼の魅力が一番楽しめるのは『スターウォーズ』だと思います。
『2001年宇宙の旅』
この映画は全て既成のクラッシック曲を使っているのですが、その使い方の上手さに最初見たときは衝撃を受けました。近未来の映像にクラッシックがこんなにあうとは!監督の音楽センスは最高です。
『サウンド・オブ・ミュージック』
この映画はミュージカルなので、全編音楽が流れています。私はミュージカルは大好きなのでいろいろな作品を見ますが、この作品ほど名ナンバーが揃っているミュージカルはないと思います。『ドレミの歌』『エーデルワイス』など皆さんが知っている曲、聴いていて楽しめる曲が詰まっています。この映画を見終わると、きっと映画で流れていたナンバーを口ずさみたくなると思います。
『ダンサー・イン・ザ・ダーク』
この映画もミュージカルなのですが、これは『サウンド・オブ・ミュージック』とは対称的な作品です。見終わった後味もとても重いのですが、映画の中で歌われる曲はどれも素晴らしいです。曲を担当しているのはアイスランド出身のロック歌手・ビョークなのですが、彼女の作り出す曲の美しさと彼女の歌声は最高です。映画は暗く賛否両論あると思いますが、音楽は誰が聴いてもぐっと魂にくるものがあります。
『ブレード・ランナー』
これは1980年代の近未来SF映画の代表みたいな作品で、現在までカルト的な熱狂を誇っています。2030年の退廃した未来映像に流れるギリシャの作曲家ヴァンゲリスのシンセサイザーによる機械的でありながら官能的で感情に訴えてくる曲の数々は映像と共に強烈な印象を残します。
『アマデウス』
モーツァルトの死のミステリーを扱ったこの映画。全編に渡り、モーツァルトの名曲が流れます。映画では、モーツァルトがどのようにして数々の名曲を生み出していったかを描く場面があり、一見取っつきにくいように思われるクラッシックに対して、この映画を見ると興味がわくと思います。
『ロード・オブ・ザ・リング』
この映画は世界中で大絶賛、大ヒットをとばしたファンタジー映画ですが、音楽もとても素晴らしです。グラミー賞のサントラ部門3年連続受賞、アカデミー音楽賞2回受賞という高い評価を受けており、完成度の高い映画音楽です。映画が描く中つ国という架空の世界を音楽で素晴らしく表現しております。時にクラシカルな手法、時に民族音楽の手法を取り入れ、壮大なスケールの叙事詩を盛り上げてくれます。また各作品の最後に流れる主題歌もどれも素晴らしいです。
『グランブルー』
この映画のサントラは高校の時、何回もかけて聴いたものでした。透明感溢れるシンセサウンドは聴いていて心が癒されます。映画を見ていない人でも、この映画のサントラはヒーリングミュージックとして最適です。この映画はこの音楽によって、魅力が一気に増しているように思います。
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