『GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊 』この映画を見て!
第34回目『GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊』
こんな人にお奨め!「『マトリックス』、『ブレードランナー』に夢中になった人、サイバーパンクが好きな人」 前回まで3回にわたり私の好きな近未来SF映画を紹介しましたが、もう1本私の大好きな映画を紹介するのを忘れていたので、今回させてもらいます。
今回紹介する『GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊』は前回紹介した『マトリックス』にも多大な影響を与えた日本アニメの傑作です。日本のアニメ映画というとスタジオジブリのイメージが強いですが、海外では他にも人気を博しているアニメが数多くあります。今回紹介する映画もアメリカでビデオ発売され、大ヒットした作品です。
この映画は1995年に制作された映画ですが、クオリティの高い映像と時代を先取りしたストーリーで今見ても見所の多い映画です。2004年には続編の『イノセンス』も公開されています。
ストーリー:「ネットが世界を覆い、人間の可能性は大きく広がった近未来。 人間の身体は一部またはほとんど義体化され、脳も電脳化されてネットと直接アクセスできるようになった社会。しかし電脳化が進むにつれ、電脳犯罪も頻発していた。草薙素子は公安9課に所属するサイボーグ。ある時、公安9課に人形使いと呼ばれる1人のサイボーグが拘束される。人形使いと呼ばれるクラッカー(パソコンの不正利用者)は他人の脳をハッキングして、記憶をすり替え操り、犯罪を起こさせていた。人形使いとは一体何者なのか?それを問いつめようとした時、公安6課が強引にも彼を連れ去ってしまう。人形使いは公安6課が対ネット犯罪者用に開発したプログラムが、偶然にもゴースト(魂)に近い自我を持つことにより生まれた、擬似生命体だった。公安6課との激しい攻防の末、彼を取り返した素子は、彼から思いもかけない申し出を受ける。 」
ストーリーを長々と書いてしまいましたが、この映画はある程度サイバーパンクやパソコンに詳しくないと、最初見たときどういう話しなのか掴みにくいと思います。今まで聞いたことないような言葉(「電脳」「義体」「ネット」)が次々と出てくるので、始めてそのような言葉を聞く人は何のことかとまどうと思います。また人間の脳がネットと直接アクセスでき、さまざまな情報を収集したり、他人の脳をハッキングできると聞いてもぴんとこない人もいると思います。
しかし、一度そこら辺のことを理解して、この映画を見ると非常に面白い作品です。まず映画の世界では取り替え可能になった身体や脳は自我(アイデンティティ)にとって何の意味も持ちません。自分の記憶ですらねつ造されてしまいます。そんな世界では今ここにいる自分が本当の自分かどうかさえあやふやで、不確定なものになってしまいます。ここにいる自分が本当に自分なのか、もしかしたら記憶も誰かにねつ造されているのではという不安・恐怖。また身体も脳も入れ替え可能なら、一体自分を自分たらしめるものは何なのか?何を根拠に今ここにいる自分が唯一無二の自分だと言えるのか?そして身体や脳が自我(アイデンティティ)にとって何の意味も持たないのなら、もともと身体や脳をもっていなくても自我(アイデンティティ)を持てばそれは人間と同じものと言えるのではないか?では人間と非人間との境界線は何なのか?この映画は非常に哲学的な深い問いかけを私たちに投げかけてきます。
この映画は最後に人間とネットの融合という形で、新たなる進化?の形が描かれます。それは人間を超えた人間の誕生であり、魂を持ったテクノロジーの誕生です。そして人間と非人間との境界線がなくなります。
この融合シーンを見ながら私は生命とは何かについて考えてしまいました。多様性とゆらぎが欲しいと融合を持ちかける人形使い。コピーは所詮コピーに過ぎないという言葉が何とも印象的です。生命は自己を保存するためにあえて他者と交わろうとする。時にはそれが変異などを起こし、新たな種が誕生し、生命に多様性が生じる。生命とは維持のための安定と変化のための不安定と両方を求める生き物なのでしょうね。
この映画は80分と短い映画ですが、何回も見て楽しめる映画だと思います。興味のある人は是非見てください。
ちなみに昨年に続編の『イノセンス』が公開されましたが、こちらは1作目に比べると衝撃度や完成度は落ちます。主役は1作目の脇役だったバトーに交代してます。もちろん草薙素子も思わぬ形で出てきます。
この映画、映像はとても精密で美しいのですが、少しセル画とCGがかみあっていないかなと思いました。ストーリーは1作目に比べるとインパクトがなく、普通のSFハードボイルド映画でした。
製作年度 1995年
製作国・地域 日本
上映時間 80分
監督 押井守
原作 士郎正宗
音楽 川井憲次
出演 田中敦子 、大塚明夫 、山寺宏一 、仲野裕 、大木民夫
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