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タテタカコのCD

tatetakako  タテタカコというアーティストをみなさんご存じでしょうか?
 私がこのアーティストの存在を知ったのは「誰も知らない」という映画からでした。「誰も知らない」は母親に捨てられた4人の子どもたちが自分たちだけで何とか生き抜こうとする話しで、実話を下にセミドキュメンタリータッチで描いた傑作です。 カンヌ映画祭においても柳楽優弥さんが最優秀男優賞を史上最年少で受賞して話題になりました。この映画の挿入曲「宝石」を作ったのがタテタカコさんです。映画のラスト近くにかかるこの曲は主人公の心情を代弁しているような感じの歌詞であり、ピアノの弾き語りによるタテさんの歌声がとても印象的でした。私はこの歌がとても気になり、映画を見終わった後すぐに彼女のCDを購入してしまいました。
 彼女は長野県出身で、つい最近3枚目のアルバム「稜線の彼方へ」を発表しています。彼女の存在を世に知らしめたのは上にも書いた通り、「誰も知らない」です。映画の監督是枝裕和がソニーのミュージックオーディションのドキュメンタリー番組を制作していたときに、彼女に出会ったことが始まりです。彼女の歌を聴いて気に入り、長野に取材で行き、ライブで歌っていた「宝石」を自分の映画のラストに入れたいと思ったそうです。彼女は映画に「宝石」という曲を提供すると共に、コンビニの店員役で映画デビューもしています。映画の中での彼女は独特な雰囲気を放っていました。
 彼女の歌の魅力はとぎすまされた感性から紡ぎ出される歌詞とピアノの弾き語りによる彼女の透き通った歌声です。
 まず歌詞ですが、歌の内容としては内省的で切なくどこか哀しいものが多いです。自分というものを深く静かに見つめ、己のエゴイズムや弱さを認めつつ、前に向かって進んで行く姿を言葉にしています。人間の普段気づかない(気づきたくない)闇を抉りだし、その闇の中で光をみつけだそうとするけなげな人間たちにエールを送る歌詞を書いています。また郷愁や哀愁を感じさせる歌も多く、一人夕暮れの中に佇むような感覚を覚える歌も多いです。歌詞に使われる言葉はどれもストレートかつ繊細な選び方がされており、聞いていて心地よく、印象に残る言葉が多いです。
 美しく繊細な歌詞を歌う彼女の声もとても魅力的で、時に優しく、時に寂しく、時に力強く声が胸に響いてきます。透きとおっていて、暖かい彼女の歌声が、ピアノ伴奏によるシンプルなメロディーにのって耳に届いてくると、心が洗われるようです。
 今年の秋に彼女のライブに行ったのですが、生で聴く彼女の言葉と声は素晴らしいものでした。聴いていて、自然に涙が出てきました。彼女の姿はとぎすまされた感受性を持ち続けている不器用な少女がそのまま大人になったような感じでした。また今年もライブで彼女 に会いに行きたいなと思っています。
 是非、多くの人に彼女の歌を聴いてほしいなと思っています。

彼女のアルバム紹介
彼女の1枚目のアルバム「そら」。「誰もしらない」挿入曲『宝石』が入ってます。歌詞カードをじっくり読みながら聞いてほしいです。

彼女の2枚目のアルバム「裏界線」。『卑怯者』という歌が胸にぐっと来ます。また『ひまわり』もお薦め。

最新アルバム「稜線の彼方に」。『春風』という曲は涙が自然に溢れてきます。

タテタカコ公式サイト:http://www.tatetakako.net/

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