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私の映画遍歴5「金田一耕助」

 今日、テレビで稲垣吾郎主演の金田一耕助シリーズ「女王蜂」が放映されていました。金田一耕助シリーズは小学生の時から大好きで、テレビでドラマや映画が放映される度に楽しみに見ていました。
 金田一耕助は日本ミステリー小説界の重鎮・横溝正史が生み出した探偵です。伝統と血縁を重んじる名家。その中の複雑でどろどろした人間関係の因縁が生み出す悲劇的な殺人事件。その事件のトリックとその背後にある人間関係の因縁を解いていく、金田一耕助。 
Inukami 稲垣吾郎版金田一耕助もなかなか良い雰囲気が出てますが、私にとって「金田一耕助」といえば石坂浩二です。私と石坂浩二版金田一耕助との出会いは「犬神家の一族」でした。「犬神家の一族」は記念すべき第一回角川映画であり、監督は名匠・市川崑を起用、出演者も日本映画を代表する豪華なメンバーにより制作されました。私はテレビでこの映画と出会ったのですが、黄色いゴムマスク、菊人形の生首、湖から突き出る足と強烈なインパクトのあるシーンの連続と複雑でどろどろした人間関係に一気に引き込まれてしまいました。
 役者たちの演技も魅力的です。犯人役演じる役者の狂気と悲哀の演技の巧みさには見入ってしまいます。(あの名優がここまでやるかといった感じで、すざましいです。)脇役を演じる俳優たちも名優揃いで、少ない登場シーンながら印象に残ります。そして金田一耕助を演じる石坂浩二ははまり役で、この映画を見たあと、金田一耕助といえば、彼の顔が思い浮かぶほどです。
 映像も戦後間もない田舎の風景をとても美しく捉えており、音楽も印象に残るものでした。また監督の市川崑の演出のセンスもとても素晴らしく、独特なタイトルロール(これはアニメ・新世紀エヴァンゲリオンでも使われています。)・カメラワーク・独特な編集の妙など、この映画の魅力を高めています。
 ストーリーは田舎の名家で起こる遺産相続にからむ連続殺人事件を解いていくという話しですが、人間の業や因縁の恐ろしさと悲しさが描かれています。
 この映画の大成功の後、石坂浩二主演・市川崑監督で4本の作品が取られました。どの作品もどろどろした人間関係の中で起こる凄惨で残酷な殺人が重厚な映像と演技により描かれています。監督のセンスの良さ、俳優たちの重厚な演技、美しくも閉鎖的な田舎の雰囲気を捉えた映像などの魅力に支えられ、どの作品も見応えのあるものになっています。
・4作品の紹介と見所
「悪魔の手鞠歌」:この作品はこのコンビによる最高傑作です。鬼首村で起こる手鞠歌に則った連続殺人事件。その背後にある、残酷で哀しい人間関係。この映画は、横溝正史の描くおどろどろしい田舎の雰囲気をよく捉えています。また単なるミステリーの枠を超えた人間の業や因縁の哀しみが描かれています。役者たちの演技も1級品で、犯人役を演じる女優と犯人を密かに愛する刑事役の若山富三郎の熟練された演技は最高です。
「獄門島」:この作品ほど、美しく残酷な殺人シーンが見られるものはなかなかありません。夏の瀬戸内海に浮かぶ島。俳句に則って行われる見立て連続殺人事件。この映画は緑を基調にした映像がとても美しいです。
「女王蜂」:この作品は今まで犯人役を演じた俳優が一堂に会しています。役者たちの重厚な演技合戦が一番の見所です。ただストーリーや演出面では他の作品に比べるともう一つです。
「病院坂の首縊りの家」:このコンビによる最後の作品。。「病院坂の首縊りの家」と呼ばれる古い館に、人間の生首が風鈴のように吊るされるという猟奇事件。この事件の背後にある哀しい親子関係。哀しいラストシーンは胸にぐっときます。
 
 
市川崑監督はこの後、豊川悦司主演で「八つ墓村」を制作しますが、以前のシリーズに比べると演技にしろ、演出にしろ、あまりぱっとしませんでした。豊川悦司もがんばってましたが、やはり石坂浩二が金田一耕助を演じないと、映画が締まりませんね。他の役者たちも、以前の作品に出演した役者に比べると、レベルが落ちますね。

 石坂浩二主演・市川崑監督のコンビによる5作品はどれも、伝統や血縁に縛られ、自由に生きられない人間たちの悲哀が描かれています。どれも非常に見応えのあるミステリー映画ですので、機会があれば是非見てください。
 

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コメント

こんばんわ。コメントありがとうございました。今年の冬に「犬神家の一族」が市川監督、石坂浩二主演でリメイクされますね。同じ監督と主演で30年前の映画とどう違う作品になるのか今から楽しみです。

投稿: アシタカ | 2006年9月18日 (月) 22時57分

同感です。
やっぱり金田一は石坂浩二ですよね。

投稿: イエローストーン | 2006年9月18日 (月) 16時55分

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» 「犬神家の一族」 [邦画ブラボー]
今更ですが。 大ヒットした由縁はなんだろう? 以下ネタバレふくみます*********** 見ていない方は読まないでね。ネタ、バレバレですので・・・ 冒頭の おどろおどろしい 一族揃った臨終シーンは壮観だった。 佐清の秀逸なビジュアルと、 息を呑むマスク脱ぎシーン? それとも 石坂金田一の醤油で煮〆たような はかま姿がグッドだったのか。 あのはかまは日本中探し回って調達した、 とっておきのボロは... [続きを読む]

受信: 2006年1月 7日 (土) 18時56分

» 「犬神家の一族」再び [Authentic=ホンモノ?]
この方の洞察は凄いです。推理力は金田一以上といえましょう。 角川映画の30周年で「犬神家の一族」をリメイクするそうですが、なんと監督市川崑、主役の金田一耕助に石坂浩二という30年前と同じメンバー。以前も書いたようにボクも大好きな金田一シリーズですが、まさか同じ監督、同じ主役で復活するなんてびっくり仰天のニュースです。 30年前の「犬神家の一族」は画像のようにDVD化され、またテレビでも何度も放送されているので見た方も多いでしょう。佐清(すけきよ)になりすましていた静馬が殺されて湖で逆立ち... [続きを読む]

受信: 2006年1月30日 (月) 16時28分

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