この映画を見て!「ロード・オブ・ザ・リング 二つの塔」
第19回「ロード・オブ・ザ・リング 二つの塔」
さて前回に引き続き、「ロード・オブ・ザ・リング 二つの塔」を紹介します。私は三部作の中で、第二部が一番お気に入りです。第一部はどうしても物語の背景やキャラクターたちの説明に時間が割かれいたのですが、第二部は一気に物語の中に入っていけます。第二部は新しいキャラクターも増え、話しも広がっていきます。また第一部の登場人物たちも成長し始め、見ている側も感情移入して応援して見ていけるんですよね。第三部はもう終わりだなという感じがして、この世界をもっと味わいたいと思う私はさみしくなるんですよね。
どの映画も大体一作目は面白いですけど、二作目・三作目となるにつれて内容もレベルダウンして見てる側も盛り下がることが多いです。(マトリックスとかは作を重ねるごとに特に尻すぼみになっていました。)しかし「ロード・オブ・ザ・リングシリーズ」は二作目、三作目になるごとに内容がレベルアップして、盛り上がっていくという希有な作品です。この映画は三部作まとめて一度に撮影されているので、役者の演技にしろ、演出にしろ、映画の質がどの作品も常に一定のレベルを保っています。
ストーリー:「前回のラスト、ばらばらになった旅の仲間たち。フロドとサムは滅びの山に向かい旅を続けていた。そしてかつて指輪を所持していたホビットのゴラムに出会う。ゴラムは指輪の影響で姿も変わり果て、指輪を取り戻すことだけに囚われていた。彼らは道案内のためにゴラムを同行させる。しかしボロミアの弟、ファラミアに捕まってしまう。その頃、フロドと間違えられウルクハイに捕まったメリーとピピンは、彼らの手から逃れ、森の中をさまよっていた。彼らは森の中でエントという木の牧者の種族に出会う。またアラゴルン・ギムリ・レゴラスの3人はメリーとピピンを救い出そうと、行方を追っていた。彼らはローハンという国に入り、死んだと思っていたガンダルフと再会する。そして彼らはローハンに迫っている危機を助けることになる。3組に分かれた旅の仲間はそれぞれ与えられた使命を果たそうと奮闘する。彼らはひとまず自分に与えられた使命を果たすが、それはより大きな使命の始まりだった」(第三部に続く)
今回は登場人物たちが3組に分かれて、物語が進んでいきます。そして彼らはそれぞれに新しいキャラクターと出会い、与えられた使命を果たそうとしていきます。今回は3組に分かれた分、話しが中つ国全体の問題へと大きく広がっていきます。また一部にもまして旅自体も過酷なものとなり、次々と彼らの前に困難が迫ってきます。その旅の中で、一人一人のキャラクターも成長して、自分たちに与えられた使命や役割を受け入れ、果たしていこうとします。一作目では頼りなかったメリーやピピンもうんと成長していきますし、アラゴルンも王としての自分を自覚し始めてきます。見ている側はその姿を見て胸が熱くなります。また新しく登場するローハンの王・セオデンやその姪のエオウィン、ボロミアの弟ファラミアなども、単なる物語を進める駒として描かれるのでなく、自分の役割や生き方を巡って激しく葛藤している姿が描かれており、これが第三部の大きな伏線へとなっています。第二部ではフロドは指輪の影響で精神がどんどん蝕まれていき、見ていてつらくなります。これで第三部まで持つのかいなと心配になってくるくらいです。そこはサムが献身的にサポートをしていくのですが・・・。第二部の一番の英雄はおそらくサムでしょうね。サムがラスト近くで語る言葉はとても感動的です。この物語のテーマをずばり語っています。私の好きな言葉に次のような言葉があります。「思うに希望とは、もともとあるものとも言えぬし、ないものとも言えない。それは地上の道のようなものである。もともと地上には道はない。歩く人が多くなれば、それが道になるのだ。 」(魯迅『故郷』より)この映画のサムのセリフを聞くたびにこの言葉を思い出すんですよね。
第二部はいろいろな場所でいろいろな話しが展開されていきますが、一番の目玉は何と言ってもヘルム峡谷の闘い。ここでの300人対10000人の対決はすごいです。その迫力は半端ではありません。映画史に残る戦闘シーンです。4ヶ月かけて撮影されたそうですが、それだけ時間がかかった理由もよく分かります。この戦闘シーンの素晴らしさは戦闘シーンそのものに加え、戦闘が始まるまでの緊張感や不安感をじっくりと描いたところにあると思います。戦闘前にアラゴルンが少年兵と話しを交わす場面はこれから始まる闘いの悲惨さとアラゴルンの決意が感じられて名シーンです。また闘いのラスト、ガンダルフが登場するシーンは鳥肌が立つほど神々しいシーンです。
またエントたちが活躍するシーンもすごいですね。森を破壊された者たちの怒り、それはもののけ姫やナウシカを連想してしまいます。
第二部でここまで、完成度の高いものを見せられると、第三部は否が応でも期待してしまいます。
製作年度 2002年
製作国・地域 アメリカ/ニュージーランド
上映時間 179分
監督 ピーター・ジャクソン
製作総指揮 マーク・オーデスキー 、ボブ・ワインスタイン 、ハーヴェイ・ワインスタイン 、マイケル・リン 、ロバート・シェイ
原作 J・R・R・トールキン
脚本 ピーター・ジャクソン 、フラン・ウォルシュ 、フィリッパ・ボウエン 、スティーヴン・シンクレア
音楽 ハワード・ショア
出演 イライジャ・ウッド 、イアン・マッケラン 、リヴ・タイラー 、ヴィゴ・モーテンセン 、ショーン・アスティン
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コメント
こんばんは。
「1」では、登場人物の人物像やその世界観を描くことに多くを割かれていて魅力が充分伝わりきらなかったのかなぁ?なんて思っていました。「2」から俄然面白くなってきて「3」への期待が高まりました。
こんなに面白いのだったら「指輪物語」も読みたいなぁと思えるくらい(笑)
投稿: chibisaru | 2006年1月 3日 (火) 23時50分