この映画を見て!「ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還」
第20回「ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還」
いよいよ「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズの紹介も最後になりました。第三部は全編クライマックスであり、感動の連続です。話しはいよいよクライマックスに向けて収束していきます。戦闘はより大きくなり、フロドにも最大の危機が訪れます。絶望一歩手前で登場人物たちは中つ国を守るために与えられた自分たちの使命を果たそうと、全力を尽くします。一作目から比べ成長したそれぞれのキャラクターを見るたびに、胸が熱くなります。特に最初は足手まといにしか見えなかったメリーとピピンが三部作で大きな役割を果たします。その逞しくなった姿をみると、見ている側もその成長ぶりにうれしくなってきます。アラゴルンも王らしい風格を持ってきます。フロドはほんとにぎりぎりの状態で自分の使命を果たそうとしていきます。また第二部から出てきたセオデンやエウオィン、ファラミアなどが抱えていた葛藤や思いが第三部でどうなっていくかも大きな見せ場となっています。
ストーリー:「フロドとサムとゴラムはモルドールのすぐ側までやってくる。ゴラムは指輪を狙い、フロドとサムを引き離そうと悪巧みを企んでいた。その頃、アラゴルン組とメリー・ピピンは再会を果たす。しかし、すぐに二人は離ればなれになる。ピピンはガンダルフとゴンドールに行くことになり、メリーはローハンに残ることになる。ゴンドールは要塞都市ミナス・ティリスを除き、モルドールの悪の軍団に制圧されていた。そしてついに中つ国の運命を左右する最後の戦争がミナス・ティリスで始まろうとしていた。ピピンはボロミアの父であるゴンドール最後の執政デネソールの従者となる。ローハンに残ったアラゴルンにメリー、そしてローハンの騎士たちもミナスティリスを助けるために向かい始める。だがアラゴルンは途中でより多くの兵を集めるためにおぼろ谷に向かう。中つ国の運命をかけた最後の絶望的な闘い。またフロドとサムに訪れる最大の危機。それぞれのものが仲間を守るために、使命を果たしていく姿が描かれる。」
最初にも書いたように第三部は全編クライマックスで感動の連続です。最初から最後まで感情が揺さぶられるシーンばかりです。前半のゴンドールからローハンに烽火が上がるシーンは見ている側も気分が高揚してきますし、フロドの痛々しさやファラミアと父デネソールの親子の不和のシーンは胸が痛みます。そして中盤から後半にかけてのミナス・ティリス、黒門での闘いのシーンは戦闘シーンのスケールの大きさもさることながら、登場人物たちの仲間への思いが伝わってきて、ぐっと心が揺さぶられます。登場人物たちのそれぞれの思いを前半でしっかり描いているからこそ、激しい戦闘シーンも生えてくるんでしょうね。またこの映画最高の感動シーンといえば滅びの山近く、サムがフロドを抱えて山を登るシーンですね。「指輪の重荷は背負えなくても、あなたを背負うことはできる」とサムがいうシーンは涙なしでは見られません。
「ロード・オブ・ザ・リング」のストーリーの素晴らしさは超人的なキャラクターが問題を解決していくのでなく、さまざまな仲間たちが思いを一つに支え合って、使命を果たしていくところにあると思います。第三部では特に仲間へのいたわりと友愛が強く伝わってきます。
(ここからネタバレの内容です)
第三部は指輪を葬った後のエピローグが少し長いと思われる方もいるかもしれません。しかし、このエピローグはとても大切なものです。フロドがなぜ旅立つのか、確かに映画だけ見るとはっしょっているので意味が分かりにくいかもしれません。(原作にはそこら辺が詳細に書かれているので、興味のある方は読んでみてください)フロドが旅で失ってしまったものや受けた傷の深さはとても大きいんですよね。さらに過酷な冒険ではああったからこそ、旅が終わった喪失感というものも大きいんですよね。だから彼は埋められない喪失を癒すために、この地を去ろうとしたんですね。またより大きな視点でいうと、指輪が葬られるということはハッピーエンドであると同時に、一つの時代の終焉でもあるんですよね。サウロンやオークが滅びましたが、それは同時にエルフたちも去り、人間が中心の世界になっていく変わり目でもあるんですよね。歴史が変わっていくことの哀しみを描いたシーンでもあるんですよね。灰色港の別れのシーンまで(ある程度)きちんと描いた監督はこの物語の本質を良く分かっているし、本当にこの物語を愛しているんだなと思います。そして監督自身もこの映画制作に7年近く携わり、ある意味フロドと同じように旅をして、映画が完成して、その世界から離れることの喪失感や哀しみがあったと思うんですよね。そこら辺の監督の思いを灰色港のシーンにこめたのかなと思います。
きっとこの映画の魅力にはまった人はエンディングが近づくと、物語が終わり、中つ国との別れが近づくことに喪失感や哀しみを感じるでしょう。
製作国・地域 ニュージーランド/アメリカ
上映時間 203分
監督 ピーター・ジャクソン
製作総指揮 マーク・オーデスキー 、ボブ・ワインスタイン 、ハーヴェイ・ワインスタイン 、マイケル・リン 、ロバート・シェイ
原作 J・R・R・トールキン
脚本 ピーター・ジャクソン 、フラン・ウォルシュ 、フィリッパ・ボウエン
音楽 ハワード・ショア
出演 イライジャ・ウッド 、イアン・マッケラン 、ヴィゴ・モーテンセン 、ショーン・アスティン 、リヴ・タイラー
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