この映画を見て!「死霊のえじき」
第24回「死霊のえじき」
見所:絶望的な終末世界、ラスト20分の地獄絵図、そしてパブの敬礼 以前に、このブログで「ゾンビ」・「ランド・オブ・ザ・デッド」とジョージ・A・ロメロが監督したゾンビ映画を紹介してきましたが、今回はその3作目に当たる「死霊のえじき」を紹介します。
ストーリー:「地球上のほとんどがゾンビによって埋め尽くされ、生き残った人間は終末の時をじりじりと迎えていた。かつて核兵器庫として使われていた軍事施設に立てこもる科学者や軍人たち。科学者はゾンビの謎を解き明かし、人間が生き残る道を探そうと研究をしている。しかし科学者たちと軍人たちはその方向性の違いから、常に対立していた。そして両者の対立が極限に達したとき、ゾンビが施設になだれ込み、悪夢のような地獄絵図が展開される。」
この映画の最大の見所は精緻を極めたスプラッターシーンです。4部作の中、一番過激で生々しいです。ラストの20分は地獄絵図のようなシーンが延々と続くので、苦手な人は正視できないと思います。
またパブという知能をもったゾンビが、この映画では登場するのですが、とても印象を残すゾンビキャラです。ラストでは人間よりも人間らしさが感じられ、皮肉な感じを受けます。
ジョージ・A・ロメロが制作されるゾンビ映画は常にその時代の政治的・社会的風潮が反映されています。「死霊のえじき」では80年代の米ソ冷戦における軍事大国主義が反映された内容となっています。この映画は中盤、科学者と軍人たちが対立していがみ合うシーンがずっと続きます。軍人たちの傲慢な姿は見ていて、ゾンビの姿を見るより、気分が悪くなります。地上から多くの人間たちが消滅した後でも、生き残った数少ない人間同士がいがみ合う姿を見ると、絶望的気分に陥ります。ラスト、核を保管していた軍事施設で人間が自滅していく姿には哀れさと自業自得を感じてしまいます。
この映画は当初の企画・脚本ではかなりの大作になる予定だったそうですが、予算が獲得できず、脚本を変更してかなりスケールダウンして制作されました。(死霊のえじき当初のシナリオに関する情報は「ゾンビ手帖」というサイトで詳細に紹介されています。そちらでオリジナルの脚本も閲覧できます。是非興味のある方は訪れてみてください。)当初のシナリオのままで制作されたら、かなり印象の違う映画になったと思います。ジャングルや村でゾンビと闘うプロットなども用意されおり、実際にセットの準備などもしていたようです。そのため、この映画は本編のほとんどが地下の軍事施設内のシーンで構成されており、とても閉塞感が漂う映画となっています。
この映画は万人にお薦めはできませんがホラー好きな方は是非見てください!ちなみにビデオで最終版と完全版と出ていますが、最終版は重要なスプラッターシーンをカットしまくっているので見ない方が良いです。
最近DVDでリリースされた死霊のえじき(完全版)は高画質・高音質な本編にメイキングやインタビュー、オリジナル脚本も特典で付いておりお薦めです。
製作年度 1985年
製作国・地域 アメリカ
上映時間 102分
監督 ジョージ・A・ロメロ
製作総指揮 サラ・M・ハッサネン
脚本 ジョージ・A・ロメロ
音楽 ジョン・ハリソン
出演 ロリ・カーディル 、テリー・アレクサンダー 、ジョセフ・ピラトー 、リチャード・リバティー 、アントン・ディレオ
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