「ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド」この映画を見て!
第25回「ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド」
見所:ゾンビに囲まれた家で繰り広げられるサバイバル
今まで「ゾンビ」「死霊のえじき」「ランド・オブ・ザ・デッド」とジョージ・A・ロメロが監督したゾンビ映画を紹介してきましたが、今回は記念すべき彼が初めて監督したゾンビ映画を紹介したいと思います。
ストーリー:「墓参りに来ていた兄妹のバーバラとジョニー。突然ゾンビの襲われ、兄はやられてしまう。バーバラは何とかゾンビの手を逃れ、一軒家に逃げ込む。しかし、いつの間にか家の周りはゾンビに取り囲まれていた。そこに現れる黒人のトラック運転手のベン。テレビではアメリカ中で死者が蘇っていることが報道されている。さらに逃げ込んでくるカップルにずっと地下の倉庫に潜んでいた家族。彼らはゾンビから家を守り、脱出して街に向かうための作戦を練るが・・。」
この映画はジョージ・A・ロメロを中心とした映画仲間が週末に集まり、低予算で撮影されています。映画のほとんどは町はずれにある一軒家で撮影されており、ゾンビの特殊メイクも対したことなく、確かに見る限り、あまり予算はかかっていなさそうです。しかし、一軒家に立てこもった人間たちの緊迫したドラマやゾンビ対人間の壮絶な闘いなど見応えは充分です。そして衝撃的な結末。この結末の後味の重さは格別です。アメリカではドライブ・イン・シアターで公開されて、じわじわと人気を獲得していったそうです。
ストーリー自体はとてもシンプルなものですが、終始緊迫した展開が続きます。周囲から隔絶された状況に置かれた中で、どう生き残っていくか。ゾンビとの闘いはもちろんのこと、人間ドラマとして見応えがあります。特に地下に立てこもった家族の父親と1階でゾンビと闘うベンとの確執は見ている側をいらいらさせます。
ゾンビですが、最初墓場で出てくるゾンビの印象が強烈です。足も速いし、石を使って窓も割ろうとするしで、他のゾンビに比べて力を持っています。また後半出てくるゾンビ化
した子どもはかなり衝撃的です。あの当時にこの映画を見た人にはかなりショックを受けただろう描写があります。
(ここからネタバレあり)
ラストは何とか夜が明け、生き残った人が窓の外を覗くのですが、ゾンビに間違われて殺されるという何とも身も蓋もない結末です。ゾンビ狩りを楽しむ人間の姿は見ていて、ゾンビより嫌悪感を抱きます。ゾンビと人間どちらが本当に恐ろしいのか分からないラストです。この映画はちょうど国外的にはベトナム戦争の真っ直中国内では公民権運動が盛んだった時代に制作されており、その時代性を見事に反映した作りとなっています。
この映画は90年代に1度リメイクされています。監督は「ゾンビ」の特殊メイクを担当したトム・サヴィーニが担当しており、途中までオリジナルとほとんど変わらない展開となっています。しかし、後半の展開が大きく変わっており、オリジナルでは叫ぶだけだった女性バーバラが活躍する展開となっております。ラストもオリジナルとは違っていますが、後味の悪さでは変わりません。人間の醜さがよく出たラストとなっています。90年代にリメイクということで特殊メイクなどは見応えがあります。
あとDVDで「ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド:最終版」というのが発売されています。こちらは15分の追加シーンがありますが、はっきり言って蛇足以外の何者でもありません。ロメロも直接関わってなく、オリジナルの冒涜としか思えません。最初に墓場で出てきたゾンビが実は犯罪者であったという説明シーンと、牧師が説教をするシーンなどが追加されています。
ゾンビ映画にしては気持ち悪いシーンも少なく、サスペンスとしても一級品です。是非、皆さんもゾンビ映画の古典とも呼ばれるこの作品を見てください!
製作年度 1968年
製作国・地域 アメリカ
上映時間 96分
監督 ジョージ・A・ロメロ
脚本 ジョン・A・ルッソ
出演 ジュディス・オディア 、デュアン・ジョーンズ 、ラッセル・ストライナー 、カール・ハードマン 、キース・ウェイン
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コメント
こんにちは!初めまして(^^)
TBとコメントありがとうございました♪
ロメロ監督と言えばこの作品ですね。
当時低予算でしかも身内にゾンビ役をお願いしたり…と当時苦心して製作されたようですね。
ゾンビよりも人間の方が恐ろしいと言うメッセージも監督は全シリーズに残していますよね。自分が助かりたいが為に他人を犠牲にする姿やゾンビ狩りをして楽しむ人間の姿…。
その感情や背景などが上手く描かれていた作品だと思います。
これからも宜しくお願いいたします。
投稿: 稲葉 | 2006年1月13日 (金) 16時55分