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2005年11月20日 - 2005年11月26日

この映画を見て!「ダンサー・イン・ザ・ダーク」

第7回!「ダンサー・イン・ザ・ダーク」

見所:主演女優ビョークの演技と魂を揺さぶる歌声、そして賛否両論分かれる結末

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この映画を私が最初に見たのは、ちょうど5年前のお正月でした。毎年1月1日の映画の日に家族で映画を見に行っており、この映画をミュージカル映画だという情報しか知らなかった我が家族はこの年の正月にこの映画を見ることを選びました。私の家族はミュージカル映画が好きだったので、その延長でこの映画を見にいったのですが、見終わった後、すぐに正月気分が飛び、家族みんな考えこみながら帰ったのを覚えています。

 

 この映画はハリウッドのミュージカル映画好きの人が行くと、期待を裏切られますし、一般的なハリウッド娯楽映画好きの人が見ると重くとても後味が悪い映画です。また気分の落ち込んでいるときに見るのは避けたほうがいい映画です。

ここまでの感想を読むと見るのを止めたくなると思うのですが、私は一度はぜひ見て損のない映画だと思っています。

この映画の最大の見所は主人公を演じるアイスランド出身の歌手、ビョークの演技と歌声にあると思います。ストーリーは好き嫌い分かれると思いますが、映画の中のミュージカルナンバーは曲・詩とも美しく、ビョークの歌声は見る人の魂を揺さぶる感動を与えてくれます。とくにラストのビョークの歌う姿・声はもはや歌姫といった感じで鳥肌ものです!またミュージカルシーンの美しさやユニークなアングルでの撮り方は一見の価値ありです。

ストーリ:「アメリカに一人息子と共に移民として渡ってきた主人公セルマ。主人公と息子は共にいつか失明する進行性の目の疾患を持っており、主人公は息子の目を助けようと下町の工場で働き、手術のお金を貯めている。そんな主人公の唯一の楽しみはアメリカのミュージカル。厳しい現実の中頭の中では自分もミュージカルの主人公となることで、自分を支えている。そんなある日、息子の手術代を近所の友人に盗まれてしまうことから悲劇がが始まる。」

この映画はハリウッドが作ってきた今までのミュージカル映画とまったく違っています。まずミュージカルシーンはすべて主人公の女性のこうあって欲しいと願う心象風景として描かれており、現実のシーンとはっきりと分かれています。現実のシーンは手持ちカメラ1台で主人公の姿をドキュメンタリータッチで生々しく捉え、ミュージカルシーンはデジタルビデオを100台以上使い、巧みな編集で幻想的かつ躍動感のあるシーンになっています。この二つのシーンの巧みな使い分けが主人公の置かれている現実と理想の差を鮮烈に表現してます。

ストーリーは前半、淡々と主人公の状況説明するシーンが続くので、眠くなるかもしれません。しかし中盤から主人公に訪れる悲劇を描くあたりから、目の離せない展開になります。主人公のとる行動一つ一つが一般の人から見ると不可解で、自分から不幸を招いているような印象をもつと思います。もっとこうしたら何とかなるのにと思う所が何箇所もあります。主人公のあまりの不器用さ、頑固さは、見る人をいらいらさせるかもしれません。そんな主人公のとる行動をどう受け取るかで、この映画の評価は分かれてくると思います。

また登場人物を通して、人間の強さ・美しさ・やさしさと弱さ・醜さ・愚かさの両面がこれでもかというほど描かれています。それは見る人を感動もさせ、とても不快にもさせます。監督は人間の両面を執拗に描く中で、生きていくことの意味を、見る人に問題提起しています。

さらに、この映画はアメリカのお家芸のミュージカルを逆手にとり、痛烈なアメリカ批判をしている映画でもあります。アメリカの民主主義・自由・ヒューマニズムの底の浅さを痛烈に批判しています。特に後半の裁判のシーンは必見です。

この映画のラストはある意味、とても重いものです。救いようの無いようなラストに見えるかもしれませんが、私は主人公にとって、残酷な舞台の上ではありますが、最後に現実の世界でみんなの前で歌を披露できたという意味では、救いようがあったのではと思っています。

この映画は見る人に感動か不快感のどちらかの印象を与えます。きっと監督は確信犯的に見る人がどちらの印象も取れるように作ってあります。みなさんはこの映画にどういう印象をもたれるでしょうか?ぜひ機会があればご覧下さい。

製作年度 2000年
製作国・地域 デンマーク
上映時間 140分
監督 ラース・フォン・トリアー 
製作総指揮 ペーター・オールベック・イェンセン 
脚本 ラース・フォン・トリアー 
音楽 ビョーク 
出演 ビョーク 、カトリーヌ・ドヌーヴ 、デヴィッド・モース 、ピーター・ストーメア 、ジャン=マルク・バール 

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この映画を見て!「ハウルの動く城」

第8回「ハウルの動く城」

hauru 見所:恋をすると人は変われるということを教えてくれる主人公たち

昨年大ヒットを飛ばし、つい先日DVD発売となった「ハウルの動く城」私も劇場で2回、そしてDVDで何回も見直していますが、この映画は見れば見るほど面白くなる映画です。映画館で見たときは宮崎駿のアニメの中では面白くない映画だなと思って見ていました。私の中で期待している宮崎駿の映画とハウルは何かが違う映画でした。そして私の周囲の男性と女性にこの映画の評価を聞くと女性に結構肯定的で好きな人が多く、それがなぜなのか疑問に思っていました。私の中で宮崎駿にもとめている映画って天空の城ラピュタのような活劇・となりのトトロのようなファンタジー・もののけ姫のメッセージ性などだったので、ハウルもその延長で見ていました。しかしこの映画をその延長でみると何か物足りないんですよね。なぜかと考えていくと、この映画って基本的に恋愛映画なんですね。戦争や魔法など出てきますが、それらは別に今回のメインテーマでなく、サブみたいなものなんですよね。そこが理解できると、この映画はロマンティックで面白い恋愛映画です。

今までの宮崎駿映画でも恋愛は出てきましたが、正面きってメインテーマで描かれることってなかったんですよね。だから昔から宮崎駿の映画が好きな人は物足りなかったと思います。この映画では戦争や魔法での対決など、今までの宮崎駿の映画ならもっとメインに出てきそうなことが、さらっとしか描かれていません。そのため、この映画が説明不足の映画だという意見が出てくると思うのですが、宮崎駿は戦争や魔法・城を細かく描くつもりは最初からないんでしょうね。

この映画のテーマはソフィーとハウルの恋愛と恋することによって変わる人間の姿を描くことです。自分に自信のない女性が、老婆になることで開き直り、恋に落ち、変わっていく。その主人公の姿だけを追ってこの映画を見れば、素敵な恋愛映画です。ハウルの美男でナルシストだけど弱虫でやさしい男性というは設定は少女漫画にでてくる男性の設定そのものです。だからこそ少女漫画がすきだった世代、ロマンティックな恋にあこがれる女性にはハウルは魅力的に見え、この映画のソフィーに共感もするのでしょう。この映画はソフィーの目線だけに絞って話が進んでいます。ソフィーという女性の恋による変化・ハウルの美しくナルシストな男性の魅力を楽しむ映画です。そういう視点でみると楽しく感動的な映画です。

ではなぜこのような恋愛映画の背景によくわからない戦争をあえて持ってきたのでしょうか。宮崎駿はこの映画を「戦火のメロドラマ」と言っているように戦争を意識しています。以前雑誌でも、ハウルは911同時多発テロ後を意識した作品にもしたいと言ってもいました。宮崎駿にとって戦争は今回どうしても入れたかった要素のようです。

しかしこの映画での戦争の描き方は抽象的で、何がどうなのかよく分かりません。でも今行われている戦争の多くも、個人には抽象的で、非現実的でよく分かりませんよね。そういう意味ではこういう描き方もありかなと思います。何千年と人間の世界で行われてきた戦争。理由が何であれ、多くの個人にとっては不条理な世界ですよね。戦争になると個人よりも全体が優先されてしまいます。この映画でもハウルが兵器として国の役に立つことを強制されます。でも戦争って個人にとっては実はほとんど無意味なことなんですよね。ハウルも行きたくないけど、言われるから兵器として闘いには出て行く。そんな戦争の中で戦争の目的を個人的な恋愛の中に見出し、愛する人のために戦いに参加してしまい、結局愛する相手を苦しめてしまうという悲劇、虚しさ。この映画の後半、ハウルが戦おうとするのをなぜソフィーが止めようとするのか、そこには自分の大切な人を守りたいという思いがもちろんあるのですが、その裏には戦争の虚しさを食い止めようとするソフィーの思いが感じられるんですよね。この映画、恋愛を通したある意味、反戦映画でもあると思います。

この映画、賛否両論あると思いますが、映像・音楽ともに美しく、見所の多い映画です。ロマンティックな雰囲気を味わいたいときは最高にいい映画です。ぜひ皆さんご覧ください!

公式サイト:http://www.howl-movie.com/

製作年度 2004年
製作国・地域 日本
上映時間 119分
監督 宮崎駿 
原作 ダイアナ・ウィン・ジョーンズ 
脚本 宮崎駿 
音楽 久石譲 
声の出演 倍賞千恵子 、木村拓哉 、美輪明宏 、我修院達也 、神木隆之介 

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私の映画遍歴4「80年代劇場版ドラえもんにはまる」

  ドラえもんの映画というと今の30代以下の方だと何作品かは見たことがあると思います。私も小さいときはよく見ていました。ドラえもんの映画は1980年公開の「のびたの恐竜」をスタートに現在25作品が制作されています。(来年には第1回作品「のびたの恐竜」のリメイク公開が決定されています)25年間毎年1作(2回公開された年もあります。)公開されていますが、90年代に入ってからのドラえもんの映画はネタ切れなのかいまいちな作品が多いのですが、80年代のドラえもん映画は傑作が多いです。私は80年代のドラえもんの映画が大好きで何回も見ましたし、今もレンタルして見たりしています。私にとって80年代ドラえもん映画の魅力は3つあります。B00005OLQ3

一つ目はドラえもんの映画はどの作品もテレビの中で繰り広げられる日常の枠を越えた非日常の世界にのびたをはじめとするいつものメンバーが迷い込み冒険をするという話しです。宇宙から海底・地底、古代日本までさまざまな世界が舞台になっており、非日常の世界で繰り広げられる話のスケールの大きさ・冒険はわくわくするんですよね。特に初期の作品はスケールの大きさとその話の組み立てかたが上手いんですよね。特に「のびたの魔界大冒険」は話の組み立て方が上手いです。オープニングの不思議な話が後半の重要な複線になっていたり、日常と非日常が途中から交錯していくストーリーは大人が見ても面白いです。見たことない人は見てみて下さい

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また映画版ドラえもんのもうひとつの魅力はいつもの主人公たちの役割や立場が逆転するところも面白いんですよね。いつもいじめられているのびたが活躍したり、ガキ大将のジャイアンがやさしくかっこよくなったりして、その意外な一面に感動したり、応援したりしてしまい、物語の中に入り込んでいくんですよね。特にお勧めが「のびたの大魔境」と「のびたの宇宙開拓史」です。ジャイアンやのびたがかっこいいですよ。

   そして最後に感動的なストーリー。初期の作品はいい話が多いです。友情や犠牲がテーマになっていることが多く、ラスト泣ける作品が多いです。特に「のびたの鉄人兵団」のリルルと「のびたの海底奇岩城」のバギーちゃんの仲間を守るための犠牲は泣けます。 B00005YUXOぜひ見てみてください。

ドラえもんの映画は私の小学生時代にとってかけがいのない映画でした。いつもと違う場所でいつもは冴えないのびたが主人公で活躍する姿は80年代からの多くの子どもたちの日常での退屈さや閉塞感を打ち破ってくれたと思うんですよね。

映画ドラえもん公式サイト:http://www.dora-movie.com/

私のドラえもん映画BEST3

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1位 のびたの魔界大冒険:話が面白いです!

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2位 のびたの鉄人兵団:スケールの大きさとラストの感動

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3位 のびたの海底奇岩城:バギーちゃん最高

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