ヘッドライト・テールライト
今日(2005年12月28日)NHKの人気番組「プロジェクトX」の最終回に中島みゆきが登場しました。番組の最後、生演奏の下、エンディングに流れる曲「ヘッドライト・テールライト」を披露したのですが、みゆきさんが歌う姿を見て感動しました。歌い方も丁寧で、優しく、後半になるにつれて、歌詞にのせた感情が高まっていく歌い方に胸が揺さぶられました。最後に手を振り、頭を深々と下げるみゆきさんの姿に、プロジェクトXと自分の歌を支えてくれた視聴者に対する畏敬と感謝の気持ちが伝わってきました。
そもそも、プロジェクトXの主題歌にみゆきさんが白羽の矢が立ったのは、「命の別名」という曲をプロジェクトXのプロデューサーが聴いたことがきっかけのようです。「命の別名」は「聖者の行進」という知的障害を持つ人たちが主人公のドラマの主題歌に使われた曲です。このドラマ自体は知的障害者への虐待という重いテーマを描き、世間でも賛否両論を巻き起こしました。ドラマの内容はさておき、「命の別名」という曲は傑作です。名もなき人たちの生きる苦闘と哀しみを歌い、命の別名は心だと叫ぶこの歌、みゆきさんの力強い歌声も相まって、聴いた後に重い歌詞にも関わらず、励ましと慰めを与えられる曲に仕上がっています。プロデューサーはプロジェクトXの企画・準備をしている段階から、「命の別名」の歌が頭に流れていたそうです。そしてプロデューサーは中島みゆきに曲を依頼するに当たって、次のような注文を受けたようです。「無名の人々の光を、歌にしてください」
みゆきさんはこのプロデューサーの言葉を下に「地上の星」「ヘッドライト・テールライト」という2つの名曲を世に放ちました。どちらの曲も、みゆきさんらしい詩的な喩えを使い、名もなき人たちに励ましのエールを送っています。行く先の見えない人生という旅。そんな人生という旅に自分の夢や信念を持って歩んでいく人たち。そんな人たちの時に挫けそうだが、諦めず何度でも立ち向かっていく姿に対する畏敬の念が伝わってきます。テレビや雑誌などに取り上げられる人だけがドラマチックな人生を歩んでいるわけでなく、この世に生まれてきた人間みんな、かけがえのない自分だけの人生を時に格闘し、時に涙しながらドラマチックに歩んでいます。そのことに気づかせてくれる歌詞です。だからこそ「地上の星」「ヘッドライトテールライト」の2曲はロングセラー&ミリオンセラーと、多くの人にも受け入れられた歌になったのでしょう。
これからもみゆきさんには名もなき人たちへのエールや共感が込められた曲をかいてほしいなと思っています。
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