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この映画を見て!「シザーハンズ」

第14回「シザーハンズ」
見所:悲しく切ないストーリー、キッチュな映像、ジョニー・ディップの目

シザーハンズ〈特別編〉

前回紹介したギルバート・グレイプに引き続き、ジョニー・ディップの主演作の紹介です。この映画はクリスマスにぴったりの切ないラブストーリーです。監督がティム・バートンという人で、今年ジョニー・ディップ主演で「チャーリーとチョコレート工場」という映画を作っており、この映画も同じコンビで作られた映画です。
 ティム・バートンは私の好きな映画監督の一人であり、代表作に「バットマン」や「マーズ・アタック」「スリーピー・ホロウ」などがあります。この監督の持ち味は、B級SF、ホラー映画やおとぎ話の世界のような映像とマイノリティなキャラクターに焦点を当てた、ダークで切ないストーリーです。(最近の映画はそんな彼の持ち味が発揮されてませんが。)

この映画は監督の持ち味が最大限発揮された映画です。

ストーリー:「丘の上の発明家の屋敷に一人住んでいるエドワード。彼は発明家によって作られた人造人間。しかし、発明家はエドワードが完成する前に死んでしまい、彼の手は仮に付けられたハサミのままだった。丘の上で何年も暮らしていたが、ある日、ふもとの町の化粧品販売の女性によって、丘を降りて、町で暮らすことになる。彼は最初、好奇な目で見られるがハサミの手を利用して植木や散髪を行い、町の人気者になる。そして一人の女性に恋をしてしまう。しかし、彼は手がハサミであるが故に、彼女抱きしめることができない。そんな中、ある事件から彼は町の住人から嫌われ、恐れられる。そして、彼は町を追い出されることになる。」

 この映画、とても切なく、悲しく、残酷で美しいおとぎ話です。オープニングの20世紀フォックスのタイトルロゴから一気におとぎ話の世界に引き込まれます。まず主人公のエドワードが手がハサミの人造人間というところが面白いアイデアだなと思います。手がハサミであるという設定がこの映画のストーリーをとても面白いものにしています。またエドワードと彼が恋をするキムとの関係の描写も彼の手がハサミであるが故にロマンティックで切なく、見るものを引きつけます。
 ラブストーリーとしてもこの映画は素晴らしいのですが、それだけでなく人間への痛烈な風刺が込められています。主人公が純粋で美しい人造人間であればあるほど、周りの人間たちが最初は彼をちやほやし、持ち上げながら、途中から手の平を返したように冷たくあしらう姿は見ていてつらくなります。それは主人公がただ単にかわいそうだからつらくなるだけでなく、自分の中にもあるマジョリティ(多数派)のマイノリティ(少数派)に対する偽善性や差別意識を暴かれているような気がして見ていてつらくなります。(名作と呼ばれるおとぎ話にはどこか人間の本性を暴くようなメッセージが込められているものです。)

 映像的にも見所満載です。まずこの映画が、美術が秀逸です。丘の上の屋敷のゴシックホラー映画調の雰囲気でありながら、どこか人間的暖かみをもったユニークな構造の美術、それと対照的にカラフルで美しく整然としているけれど、どこか冷たく非人間的な感じのする町など、美術がこの映画のストーリーや雰囲気をうまく伝えています。またエドワードが氷で彫像を作るシーンなどロマンティックな映像も、見ていてうっとりとします。
 衣装やヘアスタイルもユニークで面白く、おとぎ話のような世界観をうまく表現しています。
 音楽もティムバートン監督映画には欠かせないダニーエルフマンが、幻想的で美しくもの悲しいスコアを聴かせてくれて、映画を盛り上げてくれます。
 そして、この映画を魅力的にしている最大の要因はジョニーディップの演技です。特に彼の目が最高です。彼の透き通った、どこか憂いを帯びた目を通して、エドワードの孤独やさびしさなどがじんじん伝わってきます。

 もうすぐクリスマスですが、是非皆さんこの哀しく美しいおとぎ話をご覧ください。

製作年度 1990年
製作国・地域 アメリカ
上映時間 98分
監督 ティム・バートン 
製作総指揮 リチャード・ハシモト 
脚本 キャロライン・トンプソン 
音楽 ダニー・エルフマン 
出演 ジョニー・デップ 、ウィノナ・ライダー 、ダイアン・ウィースト 、アンソニー・マイケル・ホール 、キャシー・ベイカー 

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