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この映画をみて!「式日」

第9回「式日」

見所:美しい映像の中で繰り広げられる切なく痛々しい物語

sikizitu この映画は知らない人が多いと思いますが、スタジオジブリが初めて制作した実写映画です。しかし、ジブリアニメとは作風の方向性がまったく違います。

スタッフ・キャストはとても豪華です。監督はエヴァンゲリオンシリーズで一世を風靡した庵野秀明、音楽は加古隆、主題歌はCOCCOです。また出演者も異色で、アクション俳優で有名なスティーブン・セガールの娘・藤谷文子が主人公の女性を演じています。(この映画の原作も彼女が手がけています『逃避夢』)また映画監督としてスワロウテイル・四月物語などを作った岩井俊二が主演として初挑戦をしています。また大竹しのぶや松尾スズキなども個性派俳優も多数出演しています。

ストーリー:「映画監督の男が精神疲労から故郷に戻っている時に、廃屋のビルで一人自分の誕生日を待ちつづける女性に出会う。女性は母親からの虐待により、心に大きな痛みを負い、自分の誕生日を待ち続ける儀式を行うことで、自分を守っている。男性はそんな女性を救おうと近づき、付き合っていく。女性が男性と出会い、現実と和解するまでの32日間の姿を描く」
 この映画は幻想的で美しいシーンも多いのですが、ストーリーはとても切なく痛々しい映画です。しかしまた希望に満ちた映画でもあります。母からの虐待により、自分を責め続け、自分の殻に閉じこもり続ける女性の姿がこれでもかと描かれ痛々しいです。しかしだからこそ、この女性が男性の力を借りながら、自分の心の傷から解放される姿は希望に満ちています。人は小さいときは与えられた環境の中でしか生きることは出来ません。いい環境で育ってきた人はいいけど、悪い環境で育たざるえなかった人もいます。この映画はそんな悪い環境で育って、心に傷を負ってきた人たちに、小さな希望を与える映画です。
現実に絶望せざる得なかった人たちに、現実の中にも希望があることを教え、そっと励ましてくれる映画です。

公式サイト:http://shikijitsu.ube.ac/

制作年度2000年
制作国:日本
上映時間128分

監督: 庵野秀明
脚本:庵野秀明
音楽: 加古 隆
主題歌:COCCO「Raining」←この映画のラストにぴったり当てはまる主題歌です。必聴!
出演: 岩井俊二 藤谷文子 村上 淳 大竹しのぶ

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