この映画をみて!「インファナル・アフェア」
第4回「インファナル・アフェア」
昨年香港で大ヒットを記録して、PART2、3も制作され、ハリウッドでのリメークも決まったこの作品。私はジョン・ウー監督の「男たちの挽歌」に一時期はまった私としては、今回の作品も裏社会を舞台に激しいガンアクションが展開されるのかと期待していたのでいい意味で見事に裏切られました。
この作品は脚本がとても練られています。話自体は、 警察に潜入することを命じられたマフィアの青年と、マフィアに潜入して囮捜査をすることを命じられた警察官それぞれお互いの正体を探り、任務を遂行しようとする駆け引きを最後まで心理的緊張感を保ちながら描いていきます。話自体は今までもよくあるものですが、話の進め方・見せ方がとても上手です。特に後半30分の話の展開はすごいです。主役2人が次にいったいどのような行動に出るのか、手に汗握ります。
また主役2人の演技が絶品で、お互い本当の自分を隠して目的を遂行していく中での葛藤や戸惑いを見事に表現しています。マフィアに潜入した警察官演じるトニー・レオンは正義のためにマフィア潜入して、犯罪にも手を染め、いつしか正義を(自分が警官であるということ)見失いそうになる苦悩を感情豊かに見事に表現しています。また警察に潜入することを命じられたマフィアの青年演じるアンディ・ラウの警察内で信頼を得て地位を築くなか、自分の真の正体がばれることを恐れ、警察での今の地位を守ろうと懸命になる役をクールに、繊細に表現しています。どちらもいい演技をしていますが、わたしはラウの役の方が演じるのは難しかっただろうと思います。
香港の町並みを陰影の深く捉えるカメラ、主役2人を取り巻く脇役の演技(特に警視官を演じたアンソニー・ウォン。まるで太陽にほえろの石原裕次郎のような存在感です。)のすばらしさもこの映画の完成度を高めています。
この映画のタイトル「インファナル・アフェア」は直訳すると無間道となり、仏教用語で無間地獄を意味しており、主人公二人の映画の結末後の苦悩を見事に表現しています。きっと2人とも後戻りできない自分の生き方を永遠に後悔し、苦しむのでしょう。生きるとは苦悩を背負いながら、投げ出さず(投げ出せず)歩き続けることだと映画を見て感じました。
題 インファナル・アフェアI
製作年度 2002年
製作国・香港
上映時間 102分
監督 アンドリュー・ラウ 、アラン・マック
脚本 アラン・マック 、フェリックス・チョン
音楽 コンフォート・チャン
出演 アンディ・ラウ 、トニー・レオン 、アンソニー・ウォン 、エリック・ツァン 、エディソン・チャン
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